研究課題/領域番号 |
20K07477
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
北尾 公英 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80462787)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細菌感染 / レジオネラ / SNARE / ユビキチン / 翻訳後修飾 |
研究実績の概要 |
病原細菌レジオネラはIV型分泌装置を介して宿主細胞にエフェクタータンパク質を送ることにより宿主小胞輸送を操作し、自身の増殖のための液砲(Legionella Containing Vacuole: LCV)を構築する。レジオネラが食作用により宿主に取り込まれると初期ファゴソームが小胞体(ER)から派生した輸送小胞と膜融合し、成熟したLCVへと変貌を遂げる。その際にER由来のv-SNAREと細胞膜由来のt-SNAREがノンカノニカルなSNARE結合を形成することが知られる。申請者はこの過程における膜融合を司る宿主v-SNAREタンパク質がレジオネラ感染初期にユビキチン修飾され、感染後期にレジオネラエフェクターLotBによってその修飾が解除(脱ユビキチン化)されることを見出した。LotBによるv-SNAREの脱ユビキチン化はノンカノニカルな結合の解離を促し、LCV の成熟化に寄与していることを解明できたが、レジオネラが感染初期にv-SNAREをユビキチン化することの意義やその機序はまだ分かっていない。そこで、本研究では、レジオネラがv-SNAREのユビキチン化を介してどのように宿主の膜融合を操作し、増殖環境を確立しているのかを明らかにするために、レジオネラ感染時においてv-SNAREをユビキチン化する因子の同定とその機能解析を実施した。 これまでに、v-SNAREのユビキチン化を担うユビキチンリガーゼ(LpgX)を同定した。LpgXは真核細胞におけるATP依存的なユビキチン化反応とは全く異なるNAD依存的活性を有し、v-SNAREのセリン残基にユビキチンを付加することを見出した。また、v-SNAREはレジオネラ感染依存的に細胞膜由来t-SNAREと結合しLCV上に集積することが知られるが、LpgXによるv-SNAREのユビキチン化はその集積を促進することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初予定していた宿主v-SNAREのユビキチン化残基の同定、v-SNARE上に合成されるユビキチン鎖の構造決定、ならびに、感染時にLCV上に集積したv-SNAREの機能解明を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究期間を通して得られた知見を論文としてまとめ、公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆が現在進行中で次年度に論文公表するために研究費を使用する必要がある。
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