• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

細菌が産生するBteAファミリータンパク質の細胞死誘導機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07485
研究機関北里大学

研究代表者

桑江 朝臣  北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (60337996)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード百日咳菌 / III型分泌装置 / エフェクター
研究実績の概要

百日咳菌を含むボルデテラ属細菌は多くのグラム陰性細菌に保存されている病原因子分泌装置であるIII型分泌装置を有している.これらの細菌はエフェクターと呼ばれる一群のタンパク質を菌体内から宿主である哺乳動物細胞質内にIII型分泌装置を介して移行させる.ボルデテラ属細菌はBteAと呼ばれるエフェクターを宿主細胞内に移行させる.宿主細胞にはBteA依存的に細胞膜破壊を伴う細胞死が誘導される.本研究期間では, BteAが宿主細胞に移行後,どのような挙動をとるのか解析するとともに,百日咳菌がどのような環境下でBteAを産生・分泌するのかについて解析を行った.ボルデテラ属細菌のうち,主にヒト以外の動物に感染する気管支敗血症菌についてはBteAの産生・分泌条件が明らかになっていたが,ヒトに感染する百日咳菌が効率的にBteAを産生・分泌する条件は不明であった.我々の研究により,百日咳菌はアスコルビン酸等の還元剤存在下ではBteAの産生が抑制される一方で,これらの還元剤を除去した培地中ではBteAを効率的に産生・分泌し,この条件下で宿主細胞にBteA依存的な細胞死を誘導することを明らかにした.これらの結果から百日咳菌がどのような環境下で病原性を発揮するのかの一端が明らかになった.またBteAを分泌する装置であるIII型分泌装置の軸となるロッド状のタンパク質はBcr4と呼ばれる,これまで機能不明であったタンパク質によって菌体内で安定に維持されることを明らかにした.この細胞死はアクチン重合依存的であることはこれまでの研究により明らかになっていたが,どのようなシグナル伝達経路を介して誘導されるのか,あるいはBteAがどのような宿主細胞側因子と相互作用するのかは不明であった.本研究ではBteAと相互作用する宿主側因子の候補としてERMファミリータンパク質を見出し,さらに解析を進めている.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Landscape of blaNDM genes in Enterobacteriaceae2022

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi Yuta、Matsui Hidehito、Asami Yukihiro、Kuwae Asaomi、Inahashi Yuki、Hanaki Hideaki、Abe Akio
    • 雑誌名

      The Journal of Antibiotics

      巻: 75 ページ: 559~566

    • DOI

      10.1038/s41429-022-00553-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bcr4 Is a Chaperone for the Inner Rod Protein in the <i>Bordetella</i> Type III Secretion System2022

    • 著者名/発表者名
      Goto Masataka、Abe Akio、Hanawa Tomoko、Suzuki Masato、Kuwae Asaomi
    • 雑誌名

      Microbiology Spectrum

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.1128/spectrum.01443-22

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Insights into the structure?activity relationship of a type III secretion system inhibitor, aurodox2022

    • 著者名/発表者名
      Kimishima Aoi、Hagimoto Daichi、Honsho Masako、Watanabe Yoshihiro、Iwatsuki Masato、Tsutsumi Hayama、Inahashi Yuki、Naher Kamrun、Sakai Kazunari、Kuwae Asaomi、Abe Akio、Asami Yukihiro
    • 雑誌名

      Bioorganic &amp; Medicinal Chemistry Letters

      巻: 69 ページ: 128779~128779

    • DOI

      10.1016/j.bmcl.2022.128779

    • 査読あり
  • [雑誌論文] BteAによる細胞死誘導機構2022

    • 著者名/発表者名
      桑江朝臣
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 54 ページ: 586~587

  • [雑誌論文] BteAによる細胞死誘導機構2022

    • 著者名/発表者名
      桑江朝臣
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 6 ページ: 1256~1258

  • [学会発表] 薬剤耐性グラム陰性細菌を標的とした抗菌アジュバントの探索と創製2023

    • 著者名/発表者名
      平林亜希、桑江朝臣、阿部章夫、柴山恵吾、鈴木仁人
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
  • [学会発表] ボルデテラが産生するBcr4はIII型分泌装置のロッドタンパク質のシャペロンである2023

    • 著者名/発表者名
      後藤雅貴,桑江朝臣、花輪智子、鈴木仁人、阿部章夫
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
  • [学会発表] Bordetella属細菌の産生するタンパク質BteAとBopNの相互作用領域の解析2023

    • 著者名/発表者名
      小河俊伸、桑江朝臣、阿部章夫
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
  • [学会発表] Bordetella属細菌の産生するタンパク質BteAとBopNの相互作用領域の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小河俊伸、桑江朝臣、阿部章夫
    • 学会等名
      第105回日本細菌学会関東支部総会
  • [学会発表] Bordetella属細菌の産生するBcrH1の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      岸野裕也、桑江朝臣、阿部章夫、岡田信彦
    • 学会等名
      第105回日本細菌学会関東支部総会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi