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2022 年度 実績報告書

機能改変酵素を用いた革新的真菌感染症診断法の実用化開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07487
研究機関東京薬科大学

研究代表者

山中 大輔  東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70734599)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードβ-1,6-グルカン / β-1,6-グルカナーゼ / 多糖 / 糖質加水分解酵素 / 深在性真菌症
研究実績の概要

病原性真菌であるカンジダ属真菌が増殖する際にはβ-1,6-グルカン(16BG)を放出することが明らかとされている。本研究では改変型酵素を用いて独自開発した16BG高感度ELISAを用いて、16BGを真菌症バイオマーカーとして利用可能か、様々な観点から検証した。前年度までに、ヒト血清中に16BG高感度ELISAを阻害する因子が存在すること、検体前処理法として希釈加熱法を用いることで、16BGの高い回収率が得られることを明らかにした。また、化学発光基質を用いた16BG高感度ELISAの偽陽性反応の発生について検証し、植物・細菌由来β-グルカンとは反応しないが酵母β-グルカンとは強い反応を示すこと、β-グルカン製剤のうちSPGとは反応せず、PSKと僅かに反応し、その一方で16BGの過剰経口摂取マウスの血中から16BGは検出されないことが示された。最終年度には、16BGを静脈投与したマウス体内から16BGが消失するまでの期間を解析し、約1か月間は臓器中から検出されること、β-1,6-グルカナーゼを追加投与することで大部分が消失することを明らかにした。消化管炎症を誘発したマウスを用いて、可溶性16BGの消化管からの移行を解析したところ、体内への16BG取り込み量に炎症の影響は見られず、血中からもBGは検出されなかった。また、16BGを静脈投与したマウスに急性炎症を誘発し、16BGが臓器から血中に移行するか検証したところ、血中16BGは検出されず、対象群と比べても臓器内16BG量に有意な差がないことを見出した。これらの結果は、16BGの血中濃度が食事や消化管炎症の影響を受けにくいこと、さらに感染や食事により一時的に臓器内に蓄積した16BGが、炎症時に全身に流出する可能性が低いことなどを示しており、16BGが真菌感染症特異的なバイオマーカーと成り得ることを示唆している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] BIONIC: Biological Network Integration Using Convolutions2022

    • 著者名/発表者名
      Duncan T. Forster, Sheena C. Li, Yoko Yashiroda, Mami Yoshimura, Zhijian Li, Luis Alberto Vega Isuhuaylas, Kaori Itto-Nakama, Daisuke Yamanaka, Yoshikazu Ohya, Hiroyuki Osada, Bo Wang, Gary D. Bader & Charles Boone
    • 雑誌名

      Nature Methods

      巻: 19 ページ: 1250-1261

    • DOI

      10.1038/s41592-022-01616-x

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] SLCAを用いたβ-グルカン合成阻害薬曝露後のカンジダ細胞壁多糖構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      山中 大輔、安達 禎之
    • 学会等名
      第66回 日本医真菌学会総会・学術集会
  • [学会発表] 糖質分解酵素の機能改変と真菌多糖解析への応用2022

    • 著者名/発表者名
      山中 大輔
    • 学会等名
      第66回 日本医真菌学会総会・学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトキチナーゼを用いた真菌細胞壁キチンの高感度検出法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      山中 大輔、鈴木 健斗、木村 将大、小山 文隆、安達 禎之
    • 学会等名
      第41回 関東医真菌懇話会
  • [学会発表] 機能改変型キチナーゼを用いたキチン検出法による血清中真菌キチンの構造変化の解析2022

    • 著者名/発表者名
      島崎 錬、山中 大輔、安達 禎之
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
  • [学会発表] 真菌細胞壁多糖の高感度検出を目的とした糖質加水分解酵素の機能改変2022

    • 著者名/発表者名
      山中 大輔、安達 禎之
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 機能改変型ヒトキトトリオシダーゼを用いたELISA様試験による生体内キチンの検出2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 健斗、山中 大輔、安達 禎之
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会

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公開日: 2023-12-25  

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