研究課題/領域番号 |
20K07515
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂口 剛正 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70196070)
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研究分担者 |
東浦 彰史 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90598129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HBVプレゲノム / センダイウイルス / 安定化HBVポリメラーゼ |
研究実績の概要 |
開始点の異なる2種類のHBVプレゲノムを発現する遺伝子組換えセンダイウイルス(SeV)を作製した。開始点は、本来の位置であるpreCore蛋白質の翻訳開始点とcore蛋白質の翻訳開始点の間(pregenome RNA: pgRNA)と、preCore蛋白質の翻訳開始点の上流(upstream pregenome RNA: UpgRNA)である。これらの作製した組換えセンダイウイルス挿入配列の塩基配列を確認した。また、安定化HBVポリメラーゼ発現センダイウイルスも作製して塩基配列を確認し、当該組換えウイルスを取得することができた。 センダイウイルス2種類の感染細胞、あるいはさらにHBVポリメラーゼ発現センダイウイルスもしくは発現プラスミドを組み合わせて、HBVの複製が起こるかどうかを確認した。SeV-UpgRNA感染と安定化HBVポリメラーゼ発現を組み合わせて、培養上清に高値のHBs抗原を検出することができた。この条件では、培養上清に非常に多量のHBe抗原が検出される。これはpreCoreタンパク質が合成され、それがプロセシングを受けてHBe抗原として放出されているためであると考えられる。HBs抗原も検出される一方で、未だcccDNAの存在を確認できていない。 HBVポリメラーゼの更なる安定化を期待して、HBVのN端側に付加した3xFLAGタグにさらにFLAGタグを付加したコンストラクトを作製したが、特に安定性が上昇したという結果が得られなかった。また、HBVポリメラーゼの結晶構造解明を目指して、安定化HBVポリメラーゼの発現と精製を行っているが未だ量的に不十分である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行に際して、広島大学、広島県、AMED等と協調して、SARS-CoV-2の分離培養、塩基配列解析、試験方法および薬剤の開発を続けており、当該研究の遂行が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られている成果をまとめて論文発表することを目標とする。今後は、本システムを肝臓由来細胞の他に、いろいろな起源をもつ培養細胞で動かして検討することでHBV複製のための宿主因子を検討する予定である。また、主目的から少しはずれるが、HBVポリメラーゼの大量精製と構造解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
金額の計算を誤って少額といえる金額(9186円)の残金が生じました。次年度の予算とともに使用させていただきます。
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