研究実績の概要 |
【Syntaxin6(STX6)によるHIV-1 Gagタンパク質の細胞内輸送】HeLaおよび293T細胞では、HIV-1 Gagタンパク質はTGN/初期エンドソーム(EE)のSNARE分子であるSTX6と共局在し(共焦点顕微鏡)、共輸送された(生細胞イメージング)。Rab familyタンパク質を用いた解析からGag/STX6共局在部位は初期EEやリサイクリングエンドソーム(RE)であることが判明した。STX6をノックダウン(KD)するとHIV-1粒子産生が抑制された。免疫細胞(JurkatおよびU937細胞)で調べたところ、STX6をKD/ノックアウト(KO)するとHIV-1複製と粒子形成が抑制された。Gagタンパク質とSTX6の共局在が観察された。 【STX6によるTNFa分泌輸送とGagタンパク質の関与】免疫細胞(Jurkat, U937, THP-1細胞)では、HIV-1感染によりTNFa分泌が増加した。このHIV-1によるTNFa分泌増加はSTX6 KD/KOで消失した。Gag, TNFa, STX6のかなりは共局在を示し、Gag-STX6, STX6-TNFa, Gag-TNFaは共輸送された。 【Gag-STX6-TNFaの相互作用】免疫沈降およびプルダウンにより、Gag-STX6の直接結合(Gag MAの第5ヘリックスとSTX6 SNAREドメイン)、STX6-TNFaの直接結合(STX6 C末端とTNFa細胞質尾部)が示された。Gag-TNFaは膜を介して相互作用した。 【感染シナプスとの関連】免疫細胞ではSTX6およびTNFaは形質膜全体に局在し、シナプス極性輸送との関連はなかった。 STX6によるTNFa分泌経路を利用したHIV-1 Gagタンパク質輸送が明らかにされ、かつHIV-1感染によるTNFa分泌増加が示された。
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