本研究の目的は、ウイルス学分野の未解明問題「膜融合蛋白の活性化機構」を、生化学的手法を用いて解明することである。最近のCryoEMを用いたタンパク質の構造解析により、新しい知見が次々に報告されているが、基本的には安定した構造を解析するための手法であり、ウイルス膜融合蛋白の活性化のような、瞬間的に現れる不安定な構造こそが大きな意味をもつ現象については、肝心なところは何も解析できていないというのが実状である。本研究で用いる、生化学的データから不安定な構造を推測する手法により、より矛盾の少ない構造変化中間体モデルの構築を目指す。
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