研究実績の概要 |
1) rRTINの発現系の構築: pET47bRTINをRosetta(DE3)大腸菌株に導入し、0.1mM IPTG添加後18℃で20時間の培養により、可溶性分画からのrRTINの回収率が最大となり、本研究での至適条件として用いた。可溶性分画に抽出されたrRTINを Ni-agaroseカラム・陽イオン交換カラム等によりrRTINを精製した。精製rRTIN の分子量~98 kDa (p98)は、抗RT抗体と抗IN抗体に反応することを確認した。また、HIV-1プロテアーゼ処理により、66 kDa(p66)と51 kDa(p51)のRT産物および32kDa(p32)のIN産物の生成を確認した。以上より、精製された98 kDaのタンパク質(p98)は、RTとINが融合したタンパク質(rRTIN)であることが確認された。 2) rRTINの逆転写酵素活性:rRTINの逆転写酵素活性を無細胞逆転写アッセイ系{Huang, 2019 #32;Masuda, 2015 #2}により評価した。RTは、三つの酵素活性:RNA依存性DNAポリメラーゼ (RDDP)、RNaseH、DNA依存性DNAポリメラーゼ (DDDP)活性をを確認した。可溶性分画より精製されたRT-IN蛋白質を無細胞HIV逆転写アッセイ系(Masuda et al.,Sci. Rep. 2015)により機能評価したところ、rRTINはRTの三つの酵素活性;RNA依存性DNAポリメラーゼ活性(RDDP), RNase H活性, DNA依存性DNAポリメラーゼ活性(DDDP)を高く保持している事を確認した。rRT(p66)との比較解析より、IN融合によるRDDP活性の上昇効果を確認した。本結果は、INが、RTIN融合蛋白を介して逆転写反応の促進に直接関与し、RTとIN融合状態であることの酵素的優位性を示唆する結果と考えられる。
|