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2020 年度 実施状況報告書

マイクロRNA阻害剤によるB型肝炎ウイルスの複製抑制機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07531
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

棟方 翼  公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 主席研究員 (50420237)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードB型肝炎ウイルス / HBV / マイクRNA / 抗ウイルス薬
研究実績の概要

B型肝炎ウイルス(HBV)は膜構造を持ち、rcDNA(relaxed circular: 不完全な二本鎖DNA)をゲノムとするウイルスであり、ヒト肝細胞へ感染すると核内でcccDNA(covalently closed circular: 完全閉環二本鎖DNA)を形成する。このcccDNAより発現するウイルスRNAの一つがpgRNA(pregenomic: プレゲノミックRNA)で、pgRNAを鋳型としてウイルスの逆転写酵素(RT)によりHBVのゲノムDNAが合成される。また、cccDNAからはHBVの膜蛋白質であるHBs抗原を発現するRNAも転写される。HBV感染の治療薬として、発癌リスクが低下して予後が改善する「機能的治癒」、即ち現行の核酸アナログでは不可能な「HBs抗原陰性化」を達成可能な薬物が求められている。
HBVはヒトやチンパンジーには感染するが通常のマウスには感染しない為、我々は、マウス肝臓をヒト肝臓に置換したヒト肝臓キメラマウスを用いてHBV動物感染実験を行った。その結果、HBVの持続感染依存に発現が有意に変動するmiRNAとして、miR-210、miR-663a、miR-3648、miR-4453の4種類を同定した。我々は更にその中でmiR-4453がHBV複製を促進することを発見した上に、miR-4453阻害剤がHBVの複製をin vitro及びin vivoで抑制することも見出した。更にin vitro解析では、miR-4453がウイルス複製を促進する分子機構の一部を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

miR-4453によるHBV複製促進機構として、pgRNAのイプシロン配列への結合が必要であることを明らかとした。イプシロン配列とは、pgRNAの5'非翻訳領域と3'非翻訳領域に2か所存在する、ステム・ループ構造である。miR-4453は5'非翻訳領域のイプシロン配列に結合することも明らかとなった。in vitro解析に続いて、in vivoでのmiR-4453の役割も明らかにしている途中である。

今後の研究の推進方策

miR-4453とHBVのin vivoでの関係を明らかにしつつ、miR-4453阻害剤のHBV感染治療薬としての適用に必要なデータを、一つずつ取得していく予定である。
新型コロナウイルスの影響で、一部の試薬やプラスチック製品の供給が遅れている。具体的な研究計画を早期に確立して、出来る限り早く発注して実験を遅滞させないように努力したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で、実験計画に必要な試薬やプラスチック製品の一部が期限内に購入できなかった。この点を踏まえて、次年度では例年より早期に具体的な実験計画を確立して、必要な試薬類の購入を早める。特にマイクロRNAの機能解析については、HBV複製解析に関する試薬を直ぐに取得する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Targeted macrocycles hamper hemagglutinin adsorption and fusion, and have antiviral effects in murine and macaque models of influenza.2021

    • 著者名/発表者名
      Makoto Saito, Yasushi Itoh, Fumihiko Yasui, Tsubasa Munakata, et al.
    • 雑誌名

      Nature Communications, in press

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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