研究課題/領域番号 |
20K07536
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
竹内 健司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (40236419)
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研究分担者 |
千原 一泰 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00314948)
定 清直 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (10273765)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二重鎖RNA / ウイルス感染 / 抗ウイルス応答 |
研究実績の概要 |
我々の体には侵入した病原ウイルスを検知しこれを排除する仕組みが備わっている。ウイルス感染を疑わせる第一級の証拠は二重鎖RNAという高分子で、これが体内で検出されると様々な抗ウイルス応答の起こることが判っている。ただし、個体にとって抗ウイルス応答が起こっている状態は、発熱や倦怠感などのつらい症状を伴うものであり、いわば非常事態である。個体がウイルス排除に成功すれば、速やかに抗ウイルス応答を終息させ、通常の状態へと戻す必要がある。しかし、抗ウイルス応答を終息させることに繋がると思われる「二重鎖RNAの処理・無能化」の仕組みはわかっていない。 本研究の目的は、細胞が二重鎖RNAストレスから回復する過程で二重鎖RNAがどのように処理・無能化されるのかを明らかにすることである。この目的を達成するため、研究計画を2つに分け、初年度の実験を行った。 その結果、計画1では、293T細胞が二重鎖RNA導入に対してかなり脆弱で死にやすいことが判ったが、ある遺伝子をノックアウトすることでこの脆弱性がかなり改善され、二重鎖RNA処理後一週間ほどで細胞の活動性が回復することが観察された。このことから、次の計画2で確立する培養細胞系は当該遺伝子をノックアウトした上で確立すべきだと考えられた。 一方、計画2では、概ね初年度中に、生細胞内の二重鎖RNAを定量する培養細胞系を確立する予定であったが、まだ、確立するには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2つの研究計画のうち計画2では、概ね初年度中に生細胞内の二重鎖RNAを定量する培養細胞系を確立する予定であったが、まだ、確立するには至っていない。その理由はいくつかあるが、一つは、計画1で二重鎖RNAを導入した培養細胞を観察する中で、当該培養細胞系の確立に先立ち、細胞をゲノム編集しておく必要のあることが判ったからである。
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今後の研究の推進方策 |
先ず、なるべく早期に、生細胞内の二重鎖RNAを定量する培養細胞系の確立を目指す。これが確立されれば、次のステップである、遺伝子ノックアウトライブラリの作成へと進むことができる。 一方、ADAR1など既知の二重鎖RNA切断・修飾酵素が二重鎖RNAの処理・無能化に関わるかどうかは、当初計画したとおり、CRISPR/Cas9システムを用いた培養細胞の遺伝子ノックアウトにより検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、初年度中に生細胞内の二重鎖RNAを定量できる培養細胞系を確立する予定であったが、まだ、確立できておらず、主としてこのことを達成するために「次年度使用額(B-A)」を使用する予定である。当該培養細胞系の確立後は、当初計画通り、1)確立した培養細胞系を用いた遺伝子ノックアウトライブラリの作成と、2)ADAR1等既知の二重鎖RNA切断・修飾酵素が二重鎖RNAの処理・無能化に関わるかどうかの検討に次年度予算を使用する予定である。
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