免疫機能は加齢の影響を受ける。現在、この現象の一端として、“inflammaging”と呼ばれる、加齢に伴った基礎的炎症活性化の概念が提唱されており、その原因の1つとして、インフラマソームの活性化が知られている。インフラマソーム形成に伴うcaspase-1の活性化はIL-18の分泌に重要であることから、様々な週齢のマウスから血清を採取し、そのIL-18濃度をELISA法で測定した。若齢~高齢マウスで血清IL-18値を比較すると、加齢に伴い血清IL-18値が上昇していることが確認された。 IL-18受容体を強く発現するTh1細胞は、抗原+IL-18の刺激によってIFN-γに加えてIL-13も産生し、これらのサイトカインの作用で好中球と好酸球の気道浸潤を示すTh1型気道炎症が惹起される。そこで、抗原特異的Th1細胞をマウスに移入する受動免疫の系を用いて、高齢マウスで産生亢進が確認されたIL-18が気道炎症の誘導作用を有しているかどうか検討した。OVA特異的Th1細胞を移入された若齢マウスにOVA+IL-18点鼻刺激を行うと、好酸球と好中球の気道浸潤が亢進していることが確認され、肺HE染色でも気管支、血管周囲の細胞浸潤が亢進していることが観察されたが、OVAの単独点鼻時にはこれらの炎症所見は弱いものとなっていた。これに反し、OVA特異的Th1細胞を移入された高齢マウスでは、OVAの単独点鼻だけでも、若齢マウスに比べて有意な好酸球、好中球浸潤の亢進、深刻な肺組織の炎症像が確認された。また、高齢マウスで見られたこれらの気道炎症所見は、抗IL-18抗体の投与による血中IL-18の中和によって軽減されることも確認された。以上のことから、高齢マウスではIL-18が気道炎症の病態形成に重要な役割を演じていると考えられた。
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