研究課題
胚中心は、抗原への結合性をもとに高親和性のB細胞抗原受容体を発現するB細胞クローンを選択し、記憶B細胞として体内に保存する。近年、胚中心にて病原体抗原が修飾を受け、生成された新生エピトープを利用することで、B細胞の抗原特異性を多様化させるモデルが提唱された(Dark antigenモデル)。我々の研究グループは、Dark antigenの例となるインフルエンザヘマグルチニン(HA)エピトープを特定し論文として報告している。このHA抗原の中では、抗原変異が起こりづらい不変部位がエピトープとしてB細胞に提示され、その結果、変異ウイルスに交差反応性を獲得したB細胞が選択される現象を見出している。本年度の研究では、このエピトープを認識する抗体とエピトープの詳細な構造を明らかにするとともに、抗体に様々な人為的な修飾を加えたものを用意し、IgGサブクラスに依存する防御のなかで、FcγRを介した経路や補体を介した経路など、どの経路により防御が担われているのか、さらにどの免疫細胞等が介在するかなど、さまざまな検証実験を完了した。
2: おおむね順調に進展している
研究が進捗した結果、計画通りにデータをまとめて論文での報告を行なったため。
得られた抗体とエピトープの結合構造や防御メカニズムの免疫情報を活用し、新しい抗体医薬やワクチンの開発等への展開を検討する。
年度末納品等にかかる支払いが、令和5年4月1日以降となったため。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 8件)
PLoS Pathog .
巻: 19(8) ページ: e1011554
10.1371/journal.ppat.1011554.
Vaccine
巻: 41 ページ: 4525~4533
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