研究課題
自然リンパ球(ILC)は、自然免疫系を担う新たなリンパ球系細胞として発見され、炎症反応を制御し生体恒常性維持と生体防御に重要な細胞として注目されている。なかでも2型自然リンパ球(ILC2)は、Th2サイトカインの産生を介してアレルギー性呼吸器炎症、寄生虫感染防御、アトピー性皮膚炎等の病態形成に関与する。我々はTNF受容体型のT細胞補助刺激分子の一つであるGITR (Glucocorticoid induced tumor necrosisfactor receptor)がILC2に強く発現することを見いだした。そして、GITRシグナルが肺組織ILC2の増殖と活性化を促進し、アレルギー性肺炎症疾患の発症に寄与することを明らかにした。さらに、GITRリガンド(GITRL)発現細胞の探索を進めたところ、炎症時ILC2自身にリガンドの発現が誘導されることを見出した。ILC2細胞上のGITR-LはILC2同士の相互作用による制御、およびT細胞に発現するGITRを介したT細胞の機能制御にも関与すると考えられる。そこで本研究は、ILCにおけるGITR補助刺激シグナルを介したアレルギー性炎症疾患の制御機構を明らかにすることを目的とする。これまでの研究の結果、マウス由来ILC2についてIL-33刺激による活性化後、およびパパインによる炎症誘導後にGITR-Lの発現の亢進が認められ、GITR-L欠損マウスではILC2依存的な肺炎症病態が減弱した。また、ヒト末梢血由来ILC2を培養しin vitroにおいてサイトカイン刺激を行なったところ、活性化による補助刺激分子発現の変化が認められた。さらに、in vitro ILC2において各補助刺激シグナルの機能評価を行った。
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