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2021 年度 実施状況報告書

炎症状態におけるIgAの腸管分泌制御に果たすMZB1の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07547
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

王 継揚  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任講師 (80231041)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードIgA / 腸管免疫 / 形質細胞 / J鎖
研究実績の概要

2021年度では、マウス腸管のパイエル板およびLamina propriaよりIgA+形質細胞をセルソーターで分離し、シングルセルRNAシークエンスによる抗体遺伝子の重鎖(HC)と軽鎖(LC)の配列決定と遺伝子発現の解析を行った。その結果、56個のIgA+形質細胞のうち、実に55個がB-1細胞由来であることが判明した。即ち、定常状態の腸管においては、主にInnate IgAが腸管のホメオスタシス維持に関わっていることが示唆された。現在、炎症状態におけるIgAの由来について解析を進めている。

また、MZB1欠損マウスにおける腸管炎症の亢進により、大腸がんの発生が促進されるかどうかについて、炎症誘発性大腸がんモデルを用いて検証した。その結果、野生型マウスに比べ、MZB1欠損マウスでは、誘発される腫瘍の数が多く、サイズも顕著に大きくなっていた。野生型マウスに比べ、MZB1欠損マウでは、脾臓は肥大していたが、血中の各種抗体価は増加していなかった。さらに、脾臓とパイエル板における胚中心B細胞、マクロファージおよび好中球の割合も変わらなかった。興味深いことに、野生型マウスに比べ、MZB1欠損マウスでは、Lamina propriaにおけるマクロファージや好中球の割合が顕著に増加するとともに、TNFα、IL-6及びIL1βなどの炎症性サイトカインの産生が有意に増加していた。即ち、MZB1は炎症による大腸がんの発生を抑制する役割を果たしていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナによる影響はあったものの、予定していた実験が概ね遂行できた。

今後の研究の推進方策

2022年度では、年度別研究計画に沿って実験を実施する予定。さらに、これまでに得られたデータを総括し、論文をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

令和3年度中に研究費の前倒し請求をしたが、コロナ第6波の感染広がりなどにより、前倒し請求した研究費が使用できなかった。これらの研究費は令和4年度の研究計画に沿って使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Glia maturation factor-γ is involved in S1P-induced marginal zone B-cell chemotaxis and optimal IgM production to type II T-independent antigen2022

    • 著者名/発表者名
      Li Y, Tang Y, Liu J, Meng X, Wang Y, Min Q, Hong R, Tsubata T, Hase K, Wang JY.
    • 雑誌名

      International Immunology

      巻: 34 ページ: 35-43

    • DOI

      10.1093/intimm/dxab097

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RAG1 splicing mutation causes enhanced B cell differentiation and autoantibody production.2021

    • 著者名/発表者名
      Min Q, Meng X, Zhou Q, Wang Y, Li Y, Lai N, Xiong E, Wang W, Yasuda S, Yu M, Zhang H, Sun J, Wang X, Wang JY.
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 6 ページ: e148887

    • DOI

      10.1172/jci.insight.148887

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of Polymeric Immunoglobulin Receptor in IgA and IgM Transcytosis.2021

    • 著者名/発表者名
      Wei H, Wang JY
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 2284

    • DOI

      10.3390/ijms22052284

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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