研究課題
本研究では、長期cART治療中のHIV-1感染者から国内に流行している変異HIV-1を排除できるCTLの誘導を可能にする技術の確立を目的としている。これまで我々の研究グループが明らかにした生体内でHIV-1を強く抑制できるCTLを誘導できる20種類のHIV-1エピトープとSTING活性化によるCTLの誘導法を組み合わせることによって、完治療法やワクチンへの応用が期待できる。まず野生型ウイルスに反応できるプロテクティブエピトープ特異的CTLがナイーブT細胞から誘導できるか解析を行った。日本人に高頻度に見られHIV-1感染者で最もプロテクティブな機能を持つHLA-B*52:01-C*12:02ハプロタイプに注目し、これらのHLA拘束性エピトープ特異的CTLがナイーブT細胞から誘導できるか検討を行った。その結果、4つのHLA-B*52:01拘束性エピトープ特異的CTLが高機能を有して誘導可能であった。また他のHLAに拘束性のあるプロテクティブエピトープ10種類がナイーブT細胞から誘導可能であることも分かった。さらにHIV-1感染者では見られなかった蓄積変異を認識できるTCRを持ったエピトープ特異的CTLが、STING活性化によりナイーブT細胞から野生型ペプチドを用いて誘導できることが分かった。これらの結果から、感染者では確認できなかった変異抗原を認識できるTCRを持った新規CTLがナイーブT細胞からは誘導でき、流行HIV-1に対応できるCTL応答を誘導可能であることを示した。本研究からSTINGリガンドを用いることによって高機能を有する野生型または変異ウイルスに交差反応を示すHIV-1特異的CTLがナイーブT細胞からは誘導できることが示唆され、流行変異HIV-1に対応できる予防ワクチンや完治療法に今後応用できることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Journal of Virology
巻: 96 ページ: e0124822
10.1128/jvi.01248-22
巻: 96 ページ: e0081122
10.1128/jvi.00811-22
巻: 96 ページ: e0043222
10.1128/jvi.00432-22
https://kumamoto-u-jrchri.jp/takiguchi/default.html