申請者は、接着斑構成因子FAP1が、がんの悪性化に関与することを事前に見出していた。本研究の目的は、①FAP1の機能と発現制御機構を明らかにすることにより、がんの新たな悪性化機構を解明すること、②FAP1を標的とした抗がん剤候補化合物を同定すること、である。 FAP1は、既に知られていた接着斑因子FRNKと同一であった。本研究により、生体中のがん細胞は常時DNA損傷ストレスに晒されており、これに反応して発現したFRNKが細胞接着を増強することにより、がんの悪性化を促進することが示唆された。また、FRNKの発現を阻害する化合物ML385を見出し、これを抗がん剤候補の一つとして注目している。
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