がんは、栄養素をエネルギーに変え旺盛な増殖能を発揮する一方で、ストレスに抗して生き残る機能も兼ね備えている。抗がん剤などのストレス応答には、様々な代謝調節機構が関与しており、がんを根治する治療薬の開発には、がん特有の代謝調節機構を解明する必要がある。本研究では、がんの生存や治療抵抗性におけるニコチンアミド代謝経路の機能を理解することで、がん特有の代謝調節機構の解明を目指した。本研究の遂行により、ニコチンアミド代謝経路から、治療抵抗性を誘導する代謝物や、逆に、抑制する代謝物を同定した。がんは、これらの代謝物のバランスを制御し、治療抵抗性を獲得していることが示唆された。
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