研究課題/領域番号 |
20K07569
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
酒井 聡 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50566081)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | lncRNA / HBV複製 / 肝がん悪性化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、申請者が発見した長鎖ノンコーデイングRNA (lncRNA) ELIT-1の機能解析に関して、(1) HBV複製時におけるELIT-1の誘導機構の解明、(2) ELIT-1によるHBV複製促進機構の解明、(3) ELIT-1を標的とした新たな治療薬創生を目指すことである。 (1) ELIT-1の誘導機構はLuciferase assay系を用いて解析すると、HBVと宿主因子が協調的に機能してELIT-1プロモーターを活性化する可能性が示唆された。(2) HBV 複製促進機構に関しては、ELIT-1のノックダウンだけではHBV複製に対し劇的な抑制効果を示さなかった。(3) 治療薬創生に関しては、構築したアッセイ系で化合物ライブラリーのスクリーニングをさらに約800種実施し、ELIT-1の発現を抑制する候補化合物が数種類同定された。これら候補化合物について解析を進めている。また、ELIT-1のみならず肝がんの悪性化に寄与する可能性のあるlncRNAおよびその標的遺伝子を同定することに成功し、機能解析を実施した(論文投稿中)。 ELIT-1の発現抑制だけでは劇的なHBV複製阻害効果を得られなかったことから、既存薬の併用などによりHBV複製阻害効果を促進できる可能性があり、次年度以降検討する予定である。また、新たな候補化合物の同定、肝がん悪性化を促すlncRNAの発見とその標的遺伝子の同定など、概ね実施計画通りに進展していると判断できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初の計画通りではない側面もあるが、ELIT-1発現阻害剤のスクリーニングや新たな肝がん悪性化に寄与するlncRNAの解析など、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
同定した候補化合物を用いてELIT-1の阻害機構だけでなく、HBV複製阻害効果も検証する。肝がん悪性化に寄与した他のlncRNAのHBV複製への寄与についても検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
系の樹立、化合物スクリーニング等に時間を要した。抗体などの試薬の購入、受託解析が出来なかったため、次年度使用額が生じた。繰り越し分を解析費用として計画している。
|