研究課題/領域番号 |
20K07577
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
関田 洋一 北里大学, 理学部, 准教授 (20431950)
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研究分担者 |
松本 俊英 北里大学, 医学部, 講師 (10623184)
木村 透 北里大学, 理学部, 教授 (50280962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グリオブラストーマ / がん幹細胞 / state transition |
研究実績の概要 |
神経膠芽腫は、がん幹細胞状態と非がん幹細胞状態を双方向に遷移する、state transitionを起こすことが報告されている。幹細胞状態の表面マーカーとして、CD133が広く使用されており、本研究で使用している神経膠芽腫由来培養細胞のCD133陽性率は、株によって違いはあるものの、0~80%であることを確認している。一方、CD133陽性細胞と陰性細胞での遺伝子発現の違いを調べたところ、神経幹細胞から分化してくる細胞種の分化マーカーの発現に顕著な違いは見られなかった。一方、通常は無血清培地で浮遊培養している神経膠芽腫細胞を、血清培地にて接着培養した場合には、さまざまな分化マーカーの発現が大きく変動することを見出した。つまり、接着培養下では、がん幹細胞性が低下し、悪性度も低下していることが示唆された。このことから、我々は、無血清培地での浮遊培養条件で存在する神経膠芽腫幹細胞は、CD133を発現している状態と発現していない状態を行き来している(CD133陰性であっても、この培養条件では幹細胞性を維持している)、つまり神経膠芽腫幹細胞ではCD133が点滅するように発現したりしなかったりしているものと予想している。また、本研究では、CD133の発現を可視化することを目的として、CD133をコードするPROM1遺伝子の発現制御領域(プロモーターとエンハンサー)の下流で蛍光タンパク質遺伝子(GFPまたはDsRed)を発現するレンチウィルスベクターを構築し、これを浮遊培養下の神経膠芽腫細胞に遺伝子導入する系を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
浮遊培養細胞へのレンチウィルスによる遺伝子導入法の検討が難航したため。また、担当していた大学院生が研究室を辞めてしまったことも大きな原因となった。
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今後の研究の推進方策 |
State transitionの可視化のため、PROM1遺伝子の制御領域下でGFPを発現する細胞を作製し、CD133とGFPの発現が同調する細胞を単離する。また、GFPの発現を指標としてstate transitionに影響を与える化合物のスクリーニング系の構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学院生が研究室を辞めてしまったため、実験計画が遅れてしまった。翌年度には、これまでに作製したレンチウィルスベクターを使って、神経膠芽腫細胞でのCD133の発現を可視化する実験を行う。
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