研究課題
これまでに、腎芽腫の予後予測分子マーカー探索のため腎芽腫に特化したCGH+ SNP arrayを開発した。このarrayを用い腎芽腫の染色体異常を解析したところ腎芽腫既知原因遺伝子WT1遺伝子(11p13)近傍に共通微小染色体異常領域(11p13-14領域 1.0 Mb)を見出した。申請者はこの領域にWT1遺伝子とは異なる腎芽腫の新規原因遺伝子があると仮説を立て、腎芽腫の新規原因遺伝子の同定および新規原因遺伝子の機能解析を実施し、腎芽腫の新規治療法のための基礎的な知見を得ることを目的に本研究を実施する。腎芽腫32症例にてX1, X2, X3について遺伝子変異は認めなかった。しかしながら、X1, X2, X3については多くの腫瘍でmRNA発現消失または減少を認めた。そこで、今年度は発現消失のメカニズムを探るため各遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化解析を実施した。しかしながら、腎芽腫50症例において各遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化は認められず、DNAメチル化とは異なるメカニズムによって各遺伝子の発現が消失、減少している可能性が示唆された。
3: やや遅れている
SARS-CoV-2感染拡大に伴う研究環境の制約のため当初の計画から遅延している。また、各遺伝子の発現消失、減少のメカニズムがDNAメチル化とは異なったため、異なるアプローチでの解析が必要となった。
各遺伝子の発現消失、減少の原因を明らかにするため、より詳細にqPCRを用いたコピー数解析を実施するとともに、プロモーター領域の変異解析を実施する。また、CGH + SNP解析を実施する症例数をさらに増やす。細胞株を用い、各遺伝子のがん抑制遺伝子としての可能性を解析する。
SARS-CoV-2感染拡大に伴う研究環境の制約か大きく、研究が遅滞したため。次年度、各遺伝子のプロモーター領域のシークエンシング解析とin vitro実験に使用する。また、CGH + SNP解析の症例数をさらに増やす。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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