研究課題
2021年度までの結果からNR2F1 antisense RNA1(NR2F1-AS1)は、ルミナル型の乳がん細胞において発現が低下している長鎖非コードRNA(long non-coding RNA, lncRNA)であり、高発現させることで、がん幹細胞性を誘導する等が示唆された。2022年度においては、ルミナル型のT47D細胞のNR2F1-AS1高発現株(T47D-NR2F1-AS1)をヌードマウスに同所移植し乳がんモデルマウスを作成した。しかし、T47D-NR2F1-AS1細胞は観察期間において、マウスの移植した部位に残存しているものの、形成された腫瘍の増大は認められなかった。他の乳がん細胞株についても、NR2F1-AS1の高発現株を作製しマウスに移植すると、造腫瘍性が低下することが示された。これらの結果は、細胞培養条件において乳がん細胞のNR2F1-AS1高発現株を作製した際、幹細胞性を示し増殖能が低下したことと一致している。ヒト乳がん細胞のNR2F1-AS1高発現株を移植した乳がんモデルマウスによる、乳がんの抑制実験等は困難と判断したため、今後NR2F1-AS1の発現時期を調節可能な系で実施する予定である。また、乳がんが再発例において、無再発例と比較して発現が上昇していたlncRNAとして、さらにLOC283867およびFLJ35024が同定された。LOC283867はヒト乳がん細胞株の低転移よりも高転移株で発現が上昇していた。また、高転移株でLOC283867を抑制すると、浸潤能も抑制され、LOC283867が乳がん細胞の浸潤に関与することが示唆された。また、FLJ35024はヒト乳がん細胞株の抗がん剤耐性株で親株よりも発現が上昇しており、FLJ35024は乳がん細胞の抗がん剤耐性化に関与している可能性が示唆された。
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