研究課題/領域番号 |
20K07601
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
吉田 崇 関西医科大学, 医学部, 助教 (00714966)
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研究分担者 |
田中 進 関西医科大学, 医学部, 准教授 (30399472)
大江 知里 関西医科大学, 医学部, 講師 (40469242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 一次繊毛 / IFT88 |
研究実績の概要 |
令和2年度における本研究は、動物実験以外に関しては概ね順調に推移した。 ヒトの検体を用いて、免疫組織化学(IHC)でIFT88の発現を確認したところ、正常尿路上皮は高発現するのに対し、dysplasiaや尿路上皮癌では明らかな低下もしくは消失を確認した。RNA scopeを用いて、mRNA発現を評価したところ、IHC結果と一致して、異形成から癌ではIFT88は尿路上皮では正常粘膜と比較し発現が低下または消失していた。本結果から、IFT88が尿路上皮癌と正常との鑑別診断マーカーになりうることが示唆され、同内容で特許出願を行った。 コロナ禍のため、本学の実験動物の新規導入が制限されていたことや、販売元(US)との交渉に時間を要したこともあり動物実験が令和2年度はできなかった。そのため、in vitro研究としてヒト膀胱癌細胞株(T24,5637, RT4,RT112)を用いたIFT88KO膀胱癌細胞株の樹立を試みた。当初、定量PCRの結果では、T24および5637のIFT88発現はほとんど認められなかったが、Western blottingでタンパク発現を確認したところ、いずれの細胞株も発現量は低いものの認めることが分かった。そこでCRISPR-Cas9を用いてIFT88KOを行い増殖進展との関連性を検討することとした。しかし、残念ながら細胞株の生存を保つことができず樹立には至らなかった。以前の報告よりIFT88が有糸分裂に関わることが知られており、KOによってその働きが失われたことが樹立できなかった。したがって、本研究は尿路上皮のみ特異的にIFT88を欠失させるin vivo研究が望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、本学の実験動物の新規導入が制限されていたことや、販売元(US)との交渉に時間を要したこともあり動物実験が令和2年度はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、実験マウス導入を含め、もともとの研究計画を遂行することとする。具体的にはIFT88fl/flマウスとUpk2-iCre/ERT2遺伝子改変マウスを交配させ、Upk2-iCre/ERT2/IFT88マウスを作成し、その機能解析行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で動物実験の新規導入が困難であったため、その分が次年度使用額に反映された。次年度は、動物実験に対する研究協力者の増員が可能となったため、情勢を鑑みながら実験動物の新規導入を進めていく予定である.
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