本研究は、肝細胞癌の主腫瘍組織と腫瘍栓組織の網羅的遺伝子発現解析に基づき、脈管腫瘍栓形成における長鎖非コードRNAの役割の解明を目的として実施した。同一の肝細胞癌患者に由来する主腫瘍組織と腫瘍栓組織における遺伝子発現を比較した結果、細胞の接着や移動に関する因子の発現変動と共に、複数種の長鎖非コードRNAの発現変動をみとめた。腫瘍栓組織で発現上昇したCRNDE及びLINC00665の発現を低下させた肝癌細胞では、細胞の移動能が減弱し、マウスモデルにおける肝転移巣の形成数が減少した。従って、これらの長鎖非コードRNAの発現は肝細胞癌の腫瘍栓形成及び転移の誘導に関連性を有すると示唆された。
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