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2020 年度 実施状況報告書

加齢に伴うPD-1経路阻害治療耐性の機構解明と制御法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K07615
研究機関京都大学

研究代表者

和久 由佳 (仲島由佳)  京都大学, 医学研究科, 研究員 (40399499)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード免疫老化 / 腫瘍免疫
研究実績の概要

免疫老化への関与が示唆されたCD8陽性P4細胞の特性や機能を解析するために、まず、1)-1 P4細胞の由来の解析を行った。卵白アルブミン(OVA)特異的なT細胞レセプターを持つOT-1マウスにOVAを発現させた細胞を移植すると、P4細胞の割合が若齢マウスでは増加し、加齢マウスでは増加しなかった。次に、単離したP4細胞を抗CD3と抗CD28抗体を用いて活性化させると、エフェクター細胞へと分化した。これらの結果から、P4細胞はTCR刺激により誘導され、エフェクター細胞へと分化する細胞であり、この経路は加齢により抑制されることが示唆された。そのため、エフェクター細胞へと分化可能なナイーブ細胞とメモリー細胞を単離し、抗CD3と抗CD28抗体での刺激を行った。その結果、ナイーブ細胞からはP4細胞が誘導されたが、メモリー細胞からは誘導されなかった。このことは、P4細胞はTCR刺激によりナイーブ細胞から誘導され、エフェクター細胞へと分化する細胞であることを示すものである。
1)-2 P4細胞の抗腫瘍活性能を検討するために、単離したP4細胞をがん細胞を移植したCD8KOマウスへ導入し、腫瘍の増殖を検討した。その結果、コントロールであるエフェクター細胞を導入した場合と同様に、P4細胞移植により腫瘍増殖は強く抑えられた。さらに、移植したP4細胞はエフェクター細胞へ変化していることが末梢血液中で確認された。これらの結果は、P4細胞はエフェクター細胞へと変化することで抗腫瘍効果を発揮する可能性を示した。
1)ー3 P4細胞で特異的に発現している遺伝子を同定するために、P4細胞やその他のCD8陽性サブセット細胞のRNAを単離し、マイクロアレイ解析を行った。その結果、P4細胞では一炭素代謝に関わる遺伝子群の発現が他の細胞よりも亢進していたことから、核酸合成やメチル化修飾に関与している可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた実験内容を全て遂行することが出来たため。

今後の研究の推進方策

近年、CD8陽性T細胞の活性化に伴い、代謝経路の変動とそれに伴うエネルギーの生産経路が変化することが報告さてれ来ている。これまでに見出した抗腫瘍活性を保持しPD-1経路阻害治療に関与するP4細胞におけるエネルギー産生との関わりを検討するために、酸化的リン酸化などの代謝系の活性化状態を測定し、ATP生産量の解析を行う。
さらに、あるアジュバント法が加齢マウスにおいてP4細胞を誘導し、抗PD-L1抗体やPD-1 KOによる抗腫瘍効果を亢進させることをこれまでに明らかにしている。この作用機序を解析するために、若齢又は加齢マウスにアジュバント注射を行った後、所属リンパ節や脾臓から単離したCD8陽性細胞を用いて、網羅的な遺伝子発現比較解析を行い、関連遺伝子を同定し、qPCRやFACS解析などで発現を確認する。さらに、エネルギー産生経路をフラックスアナライザーを用いて解析する。また、どのような抗腫瘍効果が亢進しているのかを検討するために、アジュバント注射の後に腫瘍細胞をマウスに移植し、腫瘍へのCD8陽性T細胞の浸潤数や抗原特異的な細胞の割合、活性化マーカーなどの変動を解析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 実験医学「がん微小環境におけるサイトカインを介した免疫制御」2021

    • 著者名/発表者名
      仲島由佳、茶本健司
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2023-12-25  

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