研究課題
まず、安定的GGCT強制発現NIH-3T3細胞を樹立し、血清飢餓誘導性オートファジーを抑制し細胞増殖を促進する条件で、網羅的遺伝子発現解析を進めた。また、メタボローム解析で変動がみられることを確認した、好気的解糖系の亢進、核酸代謝系、ミトコンドリア酸化的リン酸化代謝系を中心として、この増殖促進に伴う代謝変動について解析を行った。その結果、GGCTがHif1aの発現を制御する新しい因子であることを発見した。さらに、GGCTは好気的解糖系を促進し、ワールブルグ効果を惹起することを発見した(Cancer Gene Ther. 2021 Jan 5. doi: 10.1038/s41417-020-00287-0. PMID: 33402732)。さらに、GGCT強制発現によってヘッジホッグ経路に含まれる広範囲の遺伝子群の発現が有意に誘導されることをみいだした。そこで、膠芽腫幹細胞におけるヘッジホッグ経路ついて詳細な解析を行った。その結果、ヘッジホッグ経路のエフェクター転写因子であるGli2の発現が、この膠芽腫幹細胞の腫瘍形成能に重要な役割を果たすことを発見した(Cancer Gene Ther. 2021 Jan 7. doi: 10.1038/s41417-020-00282-5. PMID: 33414520)。また、がん細胞において、ヘッジホッグ経路のリガンドのうち、DHHが、GGCTの発現抑制により減少することを新規にみいだした。そこで、DHH強制発現細胞を新たに樹立し、これにより、GGCTの発現抑制による増殖抑制効果を回復することを新たにみいだした。以上の結果を総合すると、GGCTが、Hif1aの発現の亢進と、それによるワールブルグ効果を惹起し、その結果、DHHを起点としたヘッジホッグ経路の異常亢進に寄与している可能性を示すものと考えられた。
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