研究課題/領域番号 |
20K07628
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
服部 奈緒子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30611090)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エピゲノム / 環境要因 / 発がん |
研究実績の概要 |
環境要因への曝露は発がんの関連要因もしくは原因であるが、その分子機構は不明な点が多い。当該研究者は、慢性炎症などの環境要因がエピゲノム異常を誘発すること、慢性炎症を除去することが発がんを抑制することを示してきた。本研究では、マウスES細胞と遺伝子改変マウスを用いて、環境要因への曝露に対するエピゲノム異常を可視化するシステムを構築、分子機構の解明、大腸発がんの予防法開発に応用することを目的とする。 本年度では、エピゲノム異常可視化マウスES細胞の作製を行うことを目的とした。mCherry遺伝子の上流にテトラサイクリン応答エレメントとEF1αプロモーター、下流にT2Aを挟んでPuro耐性遺伝子を組み込んだベクターを作製した。また、内在性のプロモーター下流にCRISPR-Cas9システムを用いて遺伝子を導入するシステムの構築も試みた。さらに、検出系の有効性確認のためのCRISPR-dCas9-Dnmt3aシステムによるゲノム領域特異的なメチル化の系も作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、可視化用ベクターを作製後、ES細胞への導入を行い、さらにES細胞から遺伝子改変マウスを作製する予定であった。しかしながら、可視化用ベクターの作製までの進捗である。一方で、CRISPR-Cas9システムを用いた内在性ゲノム領域への遺伝子導入方法及び検出系の有効性確認のためのCRISPR-dCas9-Dnmt3aシステムは確立した。よって、概ね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製した可視化用ベクターのES細胞への導入と選択を行い、mCherry陽性赤色ES細胞を得る。その後、HoxA5プロモーター下流にCRISPR-Cas9システムを用いてTetR・VP16遺伝子を導入する。非メチル化HoxA5プロモーターで発現誘導されたTetRによって、mCherryプロモーターが不活性化し、ES細胞の赤色が消失するかを判定する。当初予定していた遺伝子改変マウスの作製は先送りにし、CRISPR-dCas9-Dnmt3aシステムを用いた系の有効性の証明、既報の化合物 (ヒ素・一酸化窒素)・食品成分(vitamin)等によるメチル化誘導の確認を優先して行い、特許の取得及び論文化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初参加予定であった日本分子生物学会がオンライン開催となったため、旅費として計上していた5万円が使用されなかった。そのため、次年度使用額として44,967円が生じている。今後の使用方法としては、系の構築の確認を目的とした抗体の購入費としたいと考えている。
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