研究実績の概要 |
2021年度の作成できた2つの乳癌細胞株を正着させたマウスXenograftモデルにおいて、実際にセンチネルリンパ節がヒトと同じように行えるマウスモデルになりえるかどうについて検証した。マウス第3及び4乳腺に色素を投与すると、その近傍のリンパ節が青く染まることが確認されたが、第4乳腺は非常に近い場所にセンチネルリンパ節がるので、アイソトープの投与部位としては第3乳腺が適しており、これをモデルとすることとなった。JIMT-1(HER2陽性株)とMDA-MB-231(TNBC株)の持ったマウスにおいて第3乳腺にその乳癌細胞株を正着させ、その近傍リンパ節に転移を認めるか検討した。2つの細胞株に発光物質であるnanolanternを遺伝子導入しており、近傍のリンパ節においてその発光を認めた。発光を認めたリンパ節を摘出し、病理検索を行ったが、HEやいずれの免疫染色において明らかな転移を認めなかったため、EGFR,Her2がそれぞれ強発現しているMDA-MB-468、SKBR3もしくはBT474を用いてXenograftモデルを作成した。それらのモデルでは0.1mmの転移までそれぞれの抗体で転移が確認できた。このマウスモデルに対して最終段階である64Cu標識セツキシマブ投与を行った。まずTNBC株 MDA-MB-468を移植したXenograftモデルにて、尾静脈より64Cu標識をセツキシマブ投与し、腫瘍への集積を確認できた(8匹PET撮影を行い、8匹中3匹 37.5%の割合で同側腋窩リンパ節への集積を確認)。これによって、当初目的としていた「切らない」センチネルリンパ節生検について、最大のマイルストーンとなる体外から転移センチネルリンパ節を同定することが可能であることが実証された。今後はこのマウスモデルをヒトに応用するための大型動物さらには第1相臨床試験に向けて準備を進めたい。
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