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2021 年度 実施状況報告書

分光法を応用した血液・尿の網羅的解析による超早期がん診断と無標識循環がん細胞検出

研究課題

研究課題/領域番号 20K07643
研究機関昭和大学

研究代表者

伊藤 寛晃  昭和大学, 医学部, 准教授 (70443447)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードがん診断 / ラマン分光法 / 血清 / 尿 / 循環がん細胞
研究実績の概要

5-10μlと極微量の血清・尿を用いて、30秒という短時間で安定してラマンスペクトルを測定する技術の確立に成功した。励起光源には自家蛍光の発生の少ない近赤外線レーザーを採用し、自家蛍光が極めて弱い石英繊維を用いた特殊なチップを使用し、前処理を行っていない血清・尿のラマンスペクトルを取得することに成功し、試料中の微量成分を迅速に検出することができた。
実臨床検体は、良性疾患と悪性疾患を含む消化器疾患患者と泌尿器科疾患患者の血清であり、泌尿器科疾患患者については尿も検体として取得した。血清と尿のいずれもラマンスペクトルを記録することができ、ラマンスペクトルと疾患との特異的相関が示唆された。また、治療前後の血清のラマンスペクトルの変化が認められ、治療により血清中の微量成分が変化している可能性が示唆された。この結果から、がん診断のみならず、がん治療の効果判定、追加治療の必要性を判断するための重要な情報となりえる可能性が期待された。
血清の解析においては、2020年に「新学術領域研究『学術研究支援基盤形成』コホート・生体試料支援プラットフォーム(代表者:名古屋大学 若井建志教授)A
コホートによるバイオリソース支援活動 A-5 がん早期診断マーカー精度検証のための生体試料支援」に採択され、さらに多くのがん患者さんの血清をの解析に取り組んでいる。
これらの結果をもとに、体外医療診断機器認可を目標としたプロトタイプ機器の設計段階に進んでいる。
また、生細胞については、上記技術をもとにして励起光源の出力と照射時間を調整して評価を進めているが、得られるラマンスペクトルが不安定であり、これまでのところやや再現性に乏しい結果となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述の通り、血清・尿のラマンスペクトル記録においては、5-10μlと極微量の血清・尿試料から、30秒という短時間で安定してラマンスペクトルを測定する技術の確立に成功している。この技術により血清や尿中の微量成分を迅速に検出、評価することが可能となった。本技術で得られるラマンスペクトルによる情報は、悪性疾患、良性疾患を含む消化器疾患や泌尿器科疾患の診断、治療効果判定、追加治療要否等を確定するための有力な情報となる可能性が期待された。
これらの結果をもとに、体外医療診断機器認可を目標としたプロトタイプ機器の設計段階に進んでいる。
生細胞についても、上記技術をもとにして励起光源の出力と照射時間を調整することでラマンスペクトルを得ることに成功しているが、得られるラマンスペクトルが若干不安定でやや再現性に欠ける結果にとどまっている。記録条件を最適化し、再現性のあるラマンスペクトルを安定して記録できるよう検討している。

今後の研究の推進方策

2020年に「新学術領域研究『学術研究支援基盤形成』コホート・生体試料支援プラットフォーム(代表者:名古屋大学 若井建志教授)A コホートによるバイオリソース支援活動 A-5 がん早期診断マーカー精度検証のための生体試料支援」に採択され、さらに多くのがん患者さんの血清をの解析に取り組んでいる。また、埼玉県立がんセンターからの各種臓器の悪性疾患を中心とした患者血清を提供していただき、解析を進めている。
血清・尿・生細胞のラマンスペクトルの変化をもとにしたアルゴリズムを作成し、体外医療診断機器認可を目標としたプロトタイプ機器の設計を目指している。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた物品や試薬、消耗品が予定よりも安価に入手できたものがあったため、使用額を抑えることができた。また、推定耐用期間よりも機能を維持している機器が複数あり購入を先送りしたため、使用額が低くなった。
次年度は、耐用期間を迎える機器の部品交換時期を検討して、適切なタイミングで必要な機器や部品を購入し、研究が滞ることのないように留意する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Ultra-early cancer diagnosis and label-free circulating tumor cell detection by comprehensive analysis of blood and urine using spectroscopy2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Ito
    • 雑誌名

      Impact

      巻: 6 ページ: 6-8

    • DOI

      10.21820/23987073.2021.6.6

  • [産業財産権] 血清試料検査装置、及び血清試料の検査方法2022

    • 発明者名
      伊藤寛晃
    • 権利者名
      伊藤寛晃
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2021-546966

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公開日: 2022-12-28  

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