研究実績の概要 |
2014年より静岡がんセンターにて開始されている網羅的ながんゲノム解析研究であるHOPEプロジェクトにおいて腫瘍特異的なドライバー遺伝子変異由来のネオアンチゲンのスクリーニングを実施している。登録された4,000例の遺伝子解析データより同定されたドライバー変異[KRAS, PIC3CA, EGFR, TP53, BRAF(ミスセンス)] 2850個よりhot spot変異であり、10例以上の症例で確認された57個の遺伝子変異を抽出している。これらの変異配列を対象に日本人に多い(top10)HLA-class IのタイピングごとにHLA結合予測アルゴリズム(NETMHC pan version EL4.1, http://www.iedb.org/)を活用して各ペプチド配列のHLA-class I分子への結合活性を解析した。約11,520個の変異ペプチド配列候補から結合親和性(binding affinity 1,000nM未満、elution affinity top1%以内)に該当する151個の変異ペプチド配列を同定した。これらのペプチド配列を人工合成した後(in house)、in vitroでのCTL誘導アッセイやEB virusにて不死化したLCL細胞株からゲノム編集技術にて作製したmonoallelic-HLA expressing cellを利用したMHC stabilization assayを実施した。現時点で最終的に27個のドライバー変異由来のネオアンチゲンペプチドリストを同定している。最終年度においてヒト化マウスを用いたペプチドワクチンの有効性の確認実験と臨床試験用に委託合成した27個のペプチドを対象とした簡易的な安全性試験の実施を予定している。
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