研究課題
本研究は、肺癌に対するNKT細胞を用いた免疫療法の有効性の向上のため、新たな併用免疫療法を確立することを目的とする。NK細胞がNKT細胞の抗腫瘍効果に対するアジュバント効果に関与するメカニズムを明らかにするために研究を進めてきた。令和2年度、NK細胞とNKT細胞の共培養期間を変えながら、NK細胞がNKT細胞の抗腫瘍効果に作用するタイミングを明らかにしたものの、肺癌細胞株、A549細胞に対しては、NKT細胞の細胞傷害活性が非常に低くNK細胞によるアジュバント効果も観察されなかった。令和3年度は、他の肺癌細胞株であるH460細胞、PC13細胞及びCalu3細胞に対してのNKT細胞傷害活性とNK細胞によるアジュバント効果を検討したが、A549細胞と同様に他の肺癌細胞株に対してもNKT細胞の細胞傷害活性が非常に低くNK細胞によるアジュバント効果も観察されなかった。そこでNKT細胞の肺癌細胞株認識に必要な因子の解析を行い、腫瘍抗原とNKT細胞を架橋する抗体を用いることで、NKT細胞が肺癌細胞株に対して強い細胞傷害活性を発揮することを明らかにした。これらの結果からNKT細胞の肺癌に対する抗腫瘍効果へのNK細胞によるアジュバント効果を検討する実験系を確立できたと考える。
2: おおむね順調に進展している
計画書に記載した通り、in vitroでのNK細胞によるNKT細胞の抗腫瘍効果に対するアジュバント効果に関与するメカニズム解析を行い一定の成果を上げた。肺癌に対するNKT細胞の細胞傷害活性を誘導する実験系を確立したことから、NKT細胞の抗腫瘍効果に関与する因子の特定に成功したため、計画は概ね順調に進展していると考える。
令和2、3年度に得られた結果に基づき、in vivoの肺癌マウスモデルを用いてNKT細胞療法を再現し、腫瘍とNKT細胞を架橋する抗体を添加した上でのNK細胞によるNKT細胞の抗腫瘍効果に対するアジュバント効果を検討する。また、NK細胞によるNKT細胞の抗腫瘍効果増強因子の特定は引き続き進めていく。
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Chiba Survey Research Journal
巻: 10 ページ: 27-33