研究課題/領域番号 |
20K07654
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長屋 匡信 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (00718033)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | NIR-PIT / 食道癌 / 分子標的 |
研究実績の概要 |
新規癌治療法である近赤外光線免疫療法(NIR-PIT:near-infrared photoimmunotherapy)の消化器癌、特に食道癌や大腸癌に対する臨床応用を目指し、治療に使用できる癌特異的抗原の発現状況を検討している。まず、食道癌患者さんの切除病理標本を用い免疫組織学的な検討を目的に症例の集積を行っている。NIR-PITは蛍光色素をつけた分子標的剤を静脈注射で投与したあとに標的腫瘍に近赤外光を当てるのみの治療法のため、充実臓器より管腔臓器の表面に生じる癌に特に有効であると思われ、消化器領域への特に内視鏡を用いたNIR-PITの臨床応用を目指している。当院で治療された食道癌の内訳として、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて切除した表在型食道癌(深達度粘膜下層までの癌)の症例74例、また外科的に切除された進行食道癌(深達度筋層以深の癌)の症例を30例抽出した。 現在、頭頸部癌の治験に用いられている抗EGFR抗体につき実際の食道癌において早期癌・進行癌での発現の有無、発現程度など確認していく予定である。また、過去の報告で食道癌に発現が多いとされるGlypican-1の発現につき同様に早期癌・進行癌における発現の有無や発現程度を検討する予定である。 現在は症例集積が終わり、実際の切除標本の組織を準備している段階である。 Glypican-1の発現頻度が高い場合には、Glypican-1を発現している食道癌のcll lineを用いてNIR-PITの有用性につき検討していく方針である。 また、内視鏡を用いたNIR-PITに必須となる蛍光内視鏡の開発については継続してオリンパス社、FUJIFILM社と協議中である。オリンパス社においては小動物実験用の蛍光内視鏡の開発および改良が行われており、この試作機を動物実験のタイミングに合わせて借用することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究者自身において、研究以外の日常臨床の比重が多くなってきてしまい、研究にさける時間不足に加え、人手不足もあり、研究が遅れている。 症例リストアップや実験準備に時間を要している。症例の集積に時間を要している。また、症例集積後の追加(未染色)の組織標本の作成に対して、マンパワーが足りず遅れている。また、標本作製後に全ての標本に対して、免疫染色を数種類行うために、やはりマンパワーが足りていない。自動免疫染色機での染色が精度的には高く、時間的にも短時間で済むが、標本数が多いことからかかる費用が多くなるため、手動での染色により時間を要してしまっている。 また、臨床用の蛍光内視鏡の開発や米国のNIR-PITを開発した研究室での実験や打ち合わせも行う予定であったが、COVID19感染拡大により、できていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在集積した食道癌の患者さんのリストをもとに、続けてさらに切除標本組織を抽出し、免疫染色を行っていく。 また、食道癌においてEGFRやGlypican-1以外の特異抗原の有無についても、可能な限り切除標本に対して免疫染色を行い、どの程度の頻度で抗原が発現しているかについても併せて検討する。早期癌と進行癌での特異抗原の発現頻度の差違についても検討していく。 その上で、実際に近赤外光線免疫療法が可能かどうかを細胞実験や動物実験で検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の蓄積に時間を要してしまい、当初予定していた抗体の購入や費用のかかる標本作製および免疫組織学的検討が行えておらず、次年度使用額が生じた。症例の集積が終了しており、次年度は抗体の購入や標本作製、免疫染色などを開始するため、助成金を使用してく予定である。 当初予定していた米国での研究カンファレンスや実験について、COVID19感染拡大により行えなくなったこと、また同様に、臨床用の蛍光内視鏡開発の打ち合わせなども行えなくなったことなどから、次年度使用額が生じてしまった。
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