研究課題/領域番号 |
20K07657
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中本 裕士 京都大学, 医学研究科, 教授 (20360844)
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研究分担者 |
志水 陽一 京都大学, 医学研究科, 講師 (90634212)
河井 可奈江 (三宅可奈江) 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60812641)
片岡 正子 京都大学, 医学研究科, 講師 (10611577)
石守 崇好 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 保健・健康研究部, 研究主幹 (70742211)
松本 純明 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80760769)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乳がん / トラスツズマブ / 89Zr / PET/MR / 乳房専用PET |
研究実績の概要 |
HER2受容体を有する乳がんでは、HER2受容体に対して特異的に結合し、薬効を発揮する分子標的薬(抗体医薬品)であるトラスツズマブが治療に用いられるが、治療効果は必ずしも一律ではない。そのため、トラスツズマブの投与前に非侵襲的に効果予測できれば、無効群における有害事象の低減、医療費抑制につながることが期待される。そこで本研究では、撮像装置として一体型PET/MR装置や乳房専用PET装置を、PET診断剤として半減期が比較的長いポジトロン核種ジルコニウム-89(89Zr)で標識した抗HER2抗体(89Zr-トラスツズマブ)を用い、乳がんが疑われ、生検にて組織学的に乳癌が確定した患者、あるいは乳がんの治療後に再発が疑われた患者を対象にPET診断を実施し、18F-FDGなどの薬剤、およびPET/CT装置を用いたPET撮像など、従来の手法と比較することにより、乳がんの原発巣・転移巣における HER2受容体の発現状態を非侵襲的に評価できる画像診断法の確立を目指す。 令和3年度は、昨年度に引き続き一体型PET/MR装置および乳房専用PET装置について、ファントム測定による各装置のPET撮像条件の検討、および18F-FDGを用いた臨床PET撮像を行うなど、これらの装置を用いたPET撮像を行うための環境整備、および89Zr-トラスツズマブPET診断との比較するための臨床データの取得を進めた。また、89Zr-トラスツズマブの院内製造のための環境整備も併せて進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
89Zr-トラスツズマブの原材料となる89Zr-oxialateを院内設置のサイクロトロンで行うことを計画しており、当初令和2年度中に本サイクロトロンでの89Zr製造システムの構築を完了する予定であった。しかしながら、COVID-19の影響により本サイクロトロンのセットアップ作業を行う海外エンジニアの来日目途が未だ立っておらず、89Zr-トラスツズマブの合成検討が行えない状況が続いている。また、所定の合成法にて今回の臨床研究に用いる放射性医薬品が得られることが確認できないため、倫理委員会への申請もできない状況にある。現時点では令和4年4-5月に本システムの構築を行う予定にしており、本作業が完了次第、速やかに合成検討および製剤化について実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
89Zr製造のためのサイクロトロンシステムを構築し、89Zr-トラスツズマブの合成法・製剤化検討を進めるとともに、本薬剤を用いた臨床研究の準備(倫理委員会申請など)を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はCOVID-19の影響により、Zr-89製造のためのサイクロトロンシステムの構築、および89Zr-トラスツズマブの製剤化検討を実施できなかった。そのため上述の検討のために必要な経費については令和4年度以降に繰越し、状況が改善次第、速やかに上述の検討を実施する。
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