研究課題/領域番号 |
20K07658
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 恵理 (戸田) 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50580198)
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研究分担者 |
相良 安昭 社会医療法人博愛会(臨床研究センター), 乳腺外科, 病院長 (90753236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗癌剤治療関連心筋障害 / アドリアマイシン / 乳癌 |
研究実績の概要 |
本研究は乳癌患者におけるGrowth-differentiation factor-15(GDF-15)の心血管関連合併症予測マーカーおよび心筋障害の早期発見マーカーとしての有用性を検討することを目的としている。 乳癌治療に用いられるアントラサイクリン系薬剤やトラスツズマブなどの抗癌剤は心筋障害を惹起し、治療継続規定因子並びに予後規定因子となることが知られている。一方で、心毒性発症早期に薬剤介入を開始することで心機能改善が認めらており、心毒性ハイリスク患者の同定および早期発見、早期治療介入が益々重要になっている。 薬剤心筋症の検知には心臓超音波が推奨されている。心臓超音波は非侵襲的な心機能モニタリング方法で、特にglobal longitudinal strain (GLS)は各ガイドラインで推奨されている。一方で、施設的または技能的な制限も多い。また、昨今では抗癌剤による血栓症、血圧異常、不整脈、弁膜症等を含めて「がん治療関連心筋障害」として注目されており、新たな指標が必要である。 バイオマーカーは乳癌患者の患部を露出せず、心血管関連合併症の評価を繰り返して行うことが可能である。現在、BNP、心筋トロポニン、D-dimerなどが臨床的に使用されているが、早期介入に向けてより鋭敏な指標が求められている。GDF-15 はTransforming Growth Factor -β のスーパーファミリーの一種で、マウス実験においては、炎症、組織損傷、心臓容量負荷または圧負荷などによってGDF-15値が上昇することが報告されている。さらに乳がん患者においても予後予測マーカーである可能性が示唆されている。 本研究では抗がん剤治療における心血管関連合併症の発生頻度、転帰に関するデータ収集を行うとともに、心血管関連合併症予測におけるGDF-15の有用性について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により、研究体制の確立、開始が当初の計画より約4か月遅れたが、全ての施設でIRBの承認を得ることができ、症例登録を開始している。また、GDF-15測定装置が新たに日本でも承認になり、現在実際の測定に先立ちデータのvalidationを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、一施設で症例登録を開始しており、残り二施設も症例登録に向けて順調に準備が進んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主にGDF-15の測定費、サンプル搬送費等に使用予定である。
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