研究課題/領域番号 |
20K07659
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
眞田 文博 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30722227)
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研究分担者 |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
伊藤 薫 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (50375664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 選択的スプライシングバリアント / ペリオスチン / 治療抵抗性乳がん / 慢性心不全 |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、治療法の確立されていないトリプルネガティブ乳がん(TNBC)治療・診断方法を確立するため、TNBCの予後と相関する細胞外マトリックス蛋白であるペリオスチンのスプライシングバリアントに注目して研究を進めた。以下の内容を明らかにした。1:TNBC株に対してスプライシングレポーターを導入し、ペリオスチン高発現株と低発現株の分離と遺伝子解析により、ペリオスチン高発現株はより間葉系がん細胞の背性質を有し、腫瘍関連マクロファージ動員に関わるサイトカインを分泌すること、2:ペリオスチン高発現株のみXenograft modelにおいて腫瘍を形成し、M2タイプ腫瘍関連マクロファージが集積すること、3:病的スプライシングバリアント特異的中和抗体の投与により、腫瘍内M2マクロファージ数は減少する、4:In vitroにおいてペリオスチン病的バリアント蛋白はM0マクロファージからM2極性化マクロファージへの分化誘導、M1極性化マクロファージへの分化抑制を引き起こすことが証明された。さらにこの病的ペリオスチンバリアントを検出するシステムを構築するため、各バリアントに対するサンドイッチELISAを準備している。本年度はそれぞれのバリアントを検出するための異なるエクソンに対するモノクローナル抗体を作成し、リコンビナント蛋白およびTNBC細胞株が分泌するNative-like蛋白に対するELISAの精度を確認した。今後は臨床サンプルを用いた、精度検討、予後との相関、抗癌剤治療抵抗性マーカーとしての精度検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病的ペリオスチンバリアントの存在意義と中和抗体の効果検討。および病的ペリオスチンバリアント検出のためのELISAシステムの構築に関して、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後ELISAに関しては臨床サンプルを用いた、精度検討、予後との相関、抗癌剤治療抵抗性マーカーとしての精度検討を行う予定である。また中和抗体の臨床応用を目的に、各バリアントを発現させた腫瘍細胞株を樹立し、さらなる各バリアントの臨床的意義について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が当該年度の支出がなかったため、次年度に繰り越した。
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