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2021 年度 実施状況報告書

膵星細胞抑制薬とナノ粒子の組み合わせにより間質障壁を打破する新規膵癌治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07661
研究機関九州大学

研究代表者

江上 拓哉  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40507787)

研究分担者 堀岡 宏平  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10783699)
仲田 興平  九州大学, 大学病院, 講師 (30419569)
池永 直樹  九州大学, 大学病院, 助教 (90759755)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードナノ粒子 / 膵星細胞 / 膵癌 / 間質 / 治療抵抗性 / 薬剤送達
研究実績の概要

本研究では、膵癌の大きな特徴の一つで、治療抵抗性の原因や薬剤到達性の低下に関わっているとされる豊富な間質の中で中心的な役割を果たす膵星細胞(PSC)を標的とし、さらにドラッグデリバリーシステムであるナノ粒子を組み合わせることで、間質を改変して既存の抗がん剤の効果を増強することを目的とする。また、使用する薬剤はすでに当局に承認されて実臨床で使用されている薬剤を用いるドラッグリポジショニングを想定しており、開発期間およびコストの削減を図る。
これまでに、まず膵癌モデルマウス(同所移植モデル)に対して蛍光色素を封入したナノ粒子を投与し、高分子ポリマー(PLGA)をベースとしたナノ粒子のEPR効果による腫瘍選択的な高度な集積を確認した。当研究室ではオートファジー抑制薬として知られるクロロキンがPSC活性化を抑制することを以前報告しており、クロロキンをPLGAナノ粒子に封入した薬剤を新たに作製し、マウスモデルにおいて優れたPSC活性化抑制効果および抗がん剤の坑腫瘍効果を増強することを確認したためこれを論文発表した。また、PSCの活性化を抑制する薬剤を選定するため、PSC休眠化のマーカーである細胞質内の脂肪滴の貯留を指標としたスクリーニングシステムを開発し、クロロキン以外の候補薬を複数同定し、うち数種類で実際にPSCの活性化阻害効果、腫瘍縮小効果があることを実証した。さらにゲムシタビンの腫瘍縮小効果を増強する薬剤も同定している。このことはPSCを標的とした新たな治療法開発につながる可能性があり、これを論文報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Autophagy阻害剤であるクロロキンをナノ粒子により運送することで、優れたPSC活性化阻害効果、腫瘍縮小効果を実証することができた。これらの結果を英字論文にまとめて報告することができた。またPSCを標的とした治療薬になるうる候補薬を、脂肪滴を利用して独自に開発したスクリーニング法を用いて複数同定することができた。これらの候補薬も今後同様にナノ粒子を用いて治療効果が促進するかを検討する予定である。研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、スクリーニングにより同定したPSC活性化阻害薬をナノ粒子に封入し、同様の実験系で腫瘍抑制効果を検証する。また、ナノ粒子への腫瘍特異的な抗体の付加などのアクティブターゲティングによるさらなる集積効率の向上や、投与スケジュールの最適化などにより、最終的には膵癌の予後改善につなげるべく臨床試験の実施を目指す。

次年度使用額が生じた理由

研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。
次年度は研究用薬剤、測定用試薬などに使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Efficient pre-treatment for pancreatic cancer using chloroquine-loaded nanoparticles targeting pancreatic stellate cells2021

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Sokichi、Nakata Kohei、Sagara Akiko、Guan Weiyu、Ikenaga Naoki、Ohuchida Kenoki、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      Oncology Letters

      巻: 22 ページ: 633

    • DOI

      10.3892/ol.2021.12894

    • 査読あり
  • [雑誌論文] New high-throughput screening detects compounds that suppress pancreatic stellate cell activation and attenuate pancreatic cancer growth2021

    • 著者名/発表者名
      Sagara Akiko、Nakata Kohei、Yamashita Tomohiro、Guan Weiyu、Zhong Pingshan、Matsumoto Sokichi、Endo Sho、Iwamoto Chika、Shindo Koji、Ikenaga Naoki、Moriyama Taiki、Ohuchida Kenoki、Mizumoto Kazuhiro、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      Pancreatology

      巻: 21 ページ: 1071~1080

    • DOI

      10.1016/j.pan.2021.04.002

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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