研究課題/領域番号 |
20K07670
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
倉光 球 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 主任研究官 (00566383)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 成人T細胞白血病 / ゲノム不安定性 / 遺伝子欠失 / 定量PCR / デジタルPCR |
研究実績の概要 |
HTLV-1感染者ATLでは、高頻度にHTLV-1ゲノムの欠失があることが知られる。本研究では、ATLの欠失検出の意義および臨床検査への応用の可能性について、キャリア(Asymptomatic carrier、以下AC)およびATLでのHTLV-1ゲノムの性状等の詳細な解析から評価し、効果的な臨床検査法を開発することを目的としている。 1)ACのHTLV-1ゲノム欠失の評価と検出用の包括的PCRプライマーの同定 HTLV-1ゲノム上の40カ所をターゲットに網羅的に設定した同期的に増幅する高感度qPCRプライマーを使って、大規模にACのHTLV-1ゲノム欠失について解析を行い、ACにおける欠失領域を同定した。一部の検体では、3’LTR付近までの大欠失を有する例があり、効果的に欠失の検出するためには遺伝子増幅のターゲット領域の選択が極めて重要であると考えられた。また、対象検体のHTLV-1全長配列を決定し、プライマーの相同性解析等から増幅ターゲット領域およびプライマー配列を総合的に評価し、臨床検査法として成立するように、取りこぼし無く効果的に欠失を検出できるHTLV-1ゲノム上のターゲット領域を決定した。 2) 臨床応用に向けた取り組み 臨床検査法として使用する上で、可能な限り簡易的かつ迅速な測定方法であることが望まれると考えられる。そこで、これらターゲット領域別にプローブの色素を設定して複数のプライマー・プローブをMultiplex化し、1-wellによる評価を可能になるよう測定条件の評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HTLV-1株の系統や変異によるプライマーのミスマッチ等によりPCRが著しく阻害されないことや、欠失領域がターゲット領域に及ぶことにより不完全な検出系となっていないことを評価し、構築した測定法では、欠失の取りこぼしが生じないことを確認でき、包括的な検出系の構築できたと考えれる。また、AT臨床L検体で評価するため、検体収集を開始したところであり、現在のところ概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下について、進める予定である。 ATL臨床検体における検出法の評価と検出法のさらなる簡易迅速化の取り組み 欠失領域の遺伝子解析と欠失の遺伝子組み換え機構のメカニズム解析
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが、令和3年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和2年度分についてはほぼ使用済みである。
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