研究実績の概要 |
1)これまでに血中cfDNAについてのデジタルPCR二次元マルチプレックス展開によるKRAS・GNAS遺伝子の膵癌におけるホットスポット変異の同定解析系、および微量の検体における検出率を上げるための前増幅系を構築し、膵癌EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)検査に用いた生検針の洗い液より採取した微量組織からの高率な変異検出に成功した。これらの結果について、Journal of Molecular Diagnostics誌に採択され掲載予定である(2023, in press)。2)血中遊離RNA (cfRNA)の変異解析、および発現プロファイリング解析を行う予備実験として、細胞培養上清より抽出した遊離RNAを疑似検体とした精製・検出プロトコールの検討を行った。約106個の細胞培養上清より抽出された遊離RNAは非常に微量であるが、コントロールとなるACTB、B2Mについて、逆転写後のデジタルPCRにて安定的に検出された。KRASおよびGNAS変異検出、またいくつかの既知のノンコーディングRNAを検出することのできる系を構築した。3)KRAS、GNAS変異を有するゲノム編集細胞株の作製を膵管上皮細胞2系統(HPNE、HPDE)において作製し、RNA-seqによる発現プロファイルの比較検討を行った。3)倫理承認済みの臨床研究「血液を使った低侵襲的な癌の診断に関わる研究」において登録された膵癌・IPMN症例の中から特徴的な症例20例について、血清から遊離RNAを取得し、デジタルPCR を用いて2)で構築した系を用いてターゲットRNAの検出を試みた。
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