研究課題/領域番号 |
20K07674
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
加藤 琢磨 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (60224515)
|
研究分担者 |
王 立楠 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座助教 (00589484)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | キメラ抗原受容体 / γδT細胞 / off-the-shelf / アロ反応性 / 移植片対宿主反応 |
研究実績の概要 |
本研究ではγδ型T細胞を用いて、免疫抑制に抵抗性を付与するGITRシグナル伝達可能なGITRリガンド(GITRL)を搭載したCAR-Tを調整し、γδ型T細胞の特性である抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を利用した多重標的化、アロ未反応性を利用したoff-the-shelf化を介して固形がんに対するCAR-T細胞療法のPOCを確立する。現在まで、末梢血からメバロンサン代謝阻害剤プロドラッグPTA(tetrakis-pivaloyloxymethyl 2- (thiazole-2-ylamino) ethylidene-1,1-bisphosphonate)を用いてVγ9Vδ2TCR発現T細胞を高効率、高純度に増殖させ、細胞内にCD28とCD3zetaのシグナル伝達ドメインを含む癌胎児性抗原(CEA)特異的CARとGITRLを同時に発現するγδ型T細胞(CEA.CAR-GITRL-gdT)を調製し、GITRL未掲載のCAR-T(CEA.CAR-gdT)に比較して、試験管内で抗原特異的サイトカイン産生能と細胞傷害活性能が増強されていることを明らかにした。ヒト膵がん細胞株BxPC-3担癌させた重度免疫不全マウス(NOGマウス)を用いてヒト膵がん治療マウスモデルにおいて両CAR-Tは治療効果を発揮し、GITRLは弱いながら治療効果の増強を認めたが、治療効果の持続性が極めて限られていた。腫瘍組織中におけるCAR-Tの存在は長期にわたって確認されたが、経時的に腫瘍組織ならびに末梢血から回収したCAR-Tは、ex vivoにおいて抗原特異的刺激によるサイトカイン産生能が急激に失われることを認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CAR発現γδ型T細胞が、腫瘍内に浸潤できること、限定的ながら抗腫瘍効果を発揮すること、これらの作用がGITRL共発現により増強されることが明らかになった。しかし、自然免疫系細胞の性質を有するγδ型T細胞がαβ型T細胞に比して抗腫瘍機能の維持がしにくいことを明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
γδ型T細胞の抗腫瘍機能の持続性を高めるために、細胞調整段階における培養条件の検討と生体内に於ける輸注CAR-gdTの再活性化の条件を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:購入予定の物品がコロナ渦で納入できず、代替え品を購入したため、予定金額との差額が生じたため。 使用計画:次年度に行うin vitro実験に使用する予定である。
|