研究課題
本研究目的は、irAE発症メカニズムに「B細胞を介した抗原抗体反応が関与している」との仮説を証明するため、「irAE発症時に活性化しているB細胞1細胞から得られたB細胞受容体の遺伝子配列情報より抗体を無細胞蛋白合成系にて作成し、タンパク質アレイでその抗原を同定すること」である。まず、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与が、末梢血B細胞に与える影響をフローサイトメトリーで解析した。ICI治療のうち抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法を受けた患者は最終年度の1名を加えて12名であった。その内5名でGrade 3以上のirAEを発症し、この5名では各活性化B細胞サブセットが、irAEを発症しなかった患者と比べて大きく変化し、CD21low B細胞(中央値1.6[範囲1.0 - 2.3] vs 3.0[2.7 - 4.9])、形質芽球(2.9 [1.5 - 5.0] vs 12.5 [5.6 - 13.9])、形質細胞(3.7 [1.0 - 10.1] vs 11.7 [8.7 - 23.5])と有意な差を認めたこれらの中でも、特に著名な活性化B細胞の増加とirAE肝炎を発症した症例に注目しirAE発症時に、活性化(増加)しているB細胞クローンのユニークなB細胞受容体(BCR)遺伝子配列を同定するためBCR遺伝子のレパトア解析を実施した。活性化B細胞の分画としてCD21Low分画B細胞から抽出したmRNAよりBCR遺伝子(IgG 重鎖)を増幅し次世代シーケンサーで配列を解析した。約20万リードのBCRを解析しコピー数順でランキングしirAEの前後で増加した20のユニーク配列を選定した。次に、irAE発症時に保存した末梢血単核球(PBMC)中にあるCD21Low分画B細胞のシングルセル解析を行ったが、選定した20配列を有する細胞はなかった。
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Annals of Oncology
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