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2020 年度 実施状況報告書

X染色体転座を伴う軟部肉腫特異的分子標的治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07687
研究機関川崎医科大学

研究代表者

伊藤 達男  川崎医科大学, 医学部, 講師 (80789123)

研究分担者 中田 英二  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (10649304)
大槻 剛巳  川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551) [辞退]
大内田 守  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードBET抑制剤 / 分子標的薬 / 悪性軟部肉腫 / 融合遺伝子
研究実績の概要

研究目的:国内での第1相試験開始に向けた非臨床POC獲得のための試験データの回収
研究内容:BET抑制剤Plx2に対して、抗腫瘍効果が期待できるバイオマーカーとして融合遺伝子SS18-SSX以外の項目を探索するため、性差での薬剤感受性評価検証試験を行う。
結果:BET抑制剤である化合物Plx2が抗腫瘍効果を発揮する条件として、融合タンパク質SS18-SSXの存在と性差が重要因子であるとの結果を得た。更に、性差での効果の差は明確には確認できなかった。IC50が低値を示した滑膜肉腫細胞株2株はいずれも女性由来であった。追加で検証した項目では、BET遺伝子の発現を抑制した女性由来の滑膜肉腫細胞株ではX染色体上にある遺伝子群で優位に発現量の変化をきたしていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当研究計画では、臨床治験薬であるBET抑制剤を用いる際に抗腫瘍効果が期待できるバイオマーカーとして、X染色体機能の変化があるのではと考えて、潜在的にX染色体機能制御異常を持つがん細胞での抗腫瘍効果を性差で検証する前臨床試験を実施している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、薬剤提供元からの試薬の供与が途絶した期間もあったが、研究計画は順調に進行している。
これまでの成果として、
1:滑膜肉腫細胞株でのBET抑制剤感受性比較試験を実施し、良好な抗腫瘍効果をえた。最も低いIC50を得た細胞株はいずれも女性由来の細胞株であった。
2:BET抑制剤によるX染色体制御因子、XISTの発現量の再活性化と、選択的スプライシングの正常化を確認した。
3:治験薬Plx2での米国の非臨床POC獲得時のデータを入手し、本研究計画に必要な追加データの確認を完了した。

今後の研究の推進方策

治験薬Plx2を用いての非臨床POC獲得に向けて、PMDA事前面談を実施し、臨床治験実現までの道筋を立てる。
事前面談にて指摘された日臨床試験データの回収を行う。

次年度使用額が生じた理由

【使用額が諸じた理由】新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、治験薬製造元である米国での製造、輸送が途絶したため、予定されていた実験を遂行できなかった。試薬の供与は再開されたため、実験計画そのものへの影響は無いが、in vivoでの研究のために計上していた試験動物購入費及び、遺伝子解析のための予算が繰り越しとなったために次年度使用額が生じた。
【使用計画】
in vivo検証試験:①X染色体機能への異常が確認されている、滑膜肉腫細胞株及び、BET抑制剤治療対象となっているNUT正中線がんの細胞株にてヌードマウスでのBET抑制剤感受性検証試験を行う。滑膜肉腫及び、NUT正中線がんのいずれもBETタンパク質の機能異常を持つがんであるためBET抑制剤への高い感受性を持っていると期待される。当研究項目では主にX染色体機能抑制とBET抑制剤への感受性の関連を評価する。②精巣がん抗原でもあるSSXを高頻度に発現する雌の肝細胞癌モデルマウス(スタムマウス)にてBET抑制剤での抗腫瘍増殖抑制効果を検証する。治療後に採取したがん組織に対してNGS解析および、Xist遺伝子発現パターンの検証を行い、X染色体不安定性とBET抑制剤への感受性の関連性を評価する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] BETは滑膜肉腫特異的発現融合タンパク質SS18-SSXと相互作用を行う分子標的である2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤達男
    • 学会等名
      第53回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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