研究課題
繰り返し刺激後に、CD27を発現維持しているCRISPR-guide RNA library導入CD8T細胞でノックアウトされている遺伝子として同定された遺伝子X(仮名)について、CD8T細胞における機能解析を詳細に行った。その結果、遺伝子X発現抑制は、CD8T細胞のCD27発現維持だけでなく、増殖能亢進に寄与することが分かった。興味深いことに、コントロールCD8T細胞は約3週間でほぼすべての細胞が細胞死する一方、遺伝子X発現抑制CD8T細胞は、繰り返し刺激後も増殖を続け、100日以上も生存することが明らかとなった。さらに、増殖後も抗原特異的なサイトカイン産生および抗原特異的細胞傷害活性を維持することが分かった。この知見は、CAR-T細胞などのT細胞輸注療法で問題視されている、輸注T細胞の分化に伴う機能低下を改善し、抗腫瘍効果を大幅に高める可能性を示唆する。
2: おおむね順調に進展している
すでに確立済みの遺伝子発現抑制実験系を用いたため、標的遺伝子同定後はスムーズに実験を行うことができた。
遺伝子XがCD8T細胞による抗腫瘍効果を高めるかをin vivoモデルにおいて検討する。遺伝子Xの下流で働く遺伝子群やクロマチンアクセシビリティーを詳細に解析し、T細胞における遺伝子Xの発現および発現抑制メカニズムを明らかにする。
動物実験施設の改修工事のため、in vivo実験にかなり制限がかかり、ほとんどできなかった。そのため、in vivo実験用動物および試薬に充てる予定の使用額を次年度に繰越した。動物実験施設の改修工事が完了し、制限はあるものの3月中旬から随時in vivo実験をおこなっていく。また、遺伝子Xの下流で働く遺伝子群やクロマチンアクセシビリティーの詳細解析を行う予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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