研究課題/領域番号 |
20K07700
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中村 秀明 佐賀大学, 医学部, 助教 (10452616)
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研究分担者 |
末岡 榮三朗 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270603)
佐藤 明美 佐賀大学, 医学部, 助教 (20568357)
勝屋 弘雄 佐賀大学, 医学部, 講師 (80632041)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HTLV-1 / マルチプレックスRT-PCR / 成人T細胞白血病・リンパ腫 / ATL |
研究実績の概要 |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)により引き起こされる成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は未だ予後不良である。これまで有用なATLの病期進展リスク評価法は確立されておらず、本研究では以下のことに取り組み、評価法の開発に取り組んだ。 フローサイトメーターを用いて約300例のHTLV-1感染者のATL発症リスク評価を行った。その中から発症リスクの高い感染者を層別し、経時的に検体採取を行い、ATLの病期ごとに検体を収集した。採取した検体、磁気ビーズを用いて病態に大きく関わるHTLV-1感染細胞と、比較対象としてHTLV-1非感染細胞の分離を行い、分離後はフローサイトメーターで目的細胞が得られていることを確認した。得られた細胞集団からRNA抽出を行い、RNAシークエンス解析、逆転写反応によるcDNA合成後にqPCR解析を行った。qPCR解析を始める前に、既報のデータベース、RNAシークエンス解析結果を用いてATLでmRNAの発現亢進・低下傾向であった遺伝子を抽出し、プライマー設計を行なった。qPCR解析の結果、HTLV-1感染細胞で特異的に発現亢進・低下を認めたこれまでに報告されていない遺伝子を複数見出した。見出した遺伝子の発現解析を同時に行うマルチプレックス法の条件検討に着手し、ATLの病期進展リスク評価の検証は今後の課題として残された。 磁気ビーズを用いて簡便にHTLV-1感染細胞を採取することが可能であること、その細胞で特異的に発現が変化した未報告の遺伝子を見出した意義は大きく、ATLの予後改善に向けた重要な知見となった。また、本研究から得られたHTLV-1感染者のATL発症リスク評価を活用し、HTLV-1関連疾患の臨床や研究に貢献した。
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