本研究では、がん進展での免疫応答抑制に関与する新規免疫チェックポイント分子として推察されたマウスClec4A4およびヒトCLEC4Aに着眼し、機能阻害抗体によるこれを標的としたがん免疫治療法の有用性を解明する。令和4年度は、(1)担がんマウスモデルにおける抗マウスClec4A4機能阻害抗体の免疫チェックポイント阻害機能および、(2)抗ヒトCLEC4A機能阻害抗体の安全性について解析した。
(1)卵白アルブミン(OVA)発現組換えマウス悪性黒色腫細胞株(B16-OVA)を用いた担がんマウスモデルにおいて、抗マウスClec4A4機能阻害抗体のがん特異的T細胞応答増強効果、がん組織浸潤免疫細胞促進効果、抗がん進展制御効果を評価した。その結果、抗マウスClec4A4機能阻害抗体投与群はコントロール抗体投与群と比較して有用性は得られなかった。これは、抗マウスClec4A4抗体が生体内において機能しない事が示唆され、新たな抗マウスClec4A4機能阻害抗体を作製中である。
(2)B16-OVAを用いた担がんマウスモデルにおいて、コントロール抗体や抗ヒトCLEC4A機能阻害抗体を投与後、抗体非投与群やコントロール抗体投与群を対照として、体重変化と組織(肺、肝臓、消化管、腎臓、皮膚)障害の発生の有無を比較検討した。その結果、抗体非投与群やコントロール抗体投与群と比較して、抗ヒトCLEC4A機能阻害抗体投与群では体重変化および、皮膚、腎臓、肝臓、消化管における組織障害は観察されなかった。
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