研究実績の概要 |
本研究では次世代の遺伝子治療薬や診断薬として注目を集めているPyrrole-Imidazole Polyamide-Drug conjugate(PDC)のアルキル化剤付加体の誘導体の開発を行う。本年度ではCCC-030,NH2-CCC-030,aNH2-CCC-030,2NH2-CCC-030の物性試験の検討、また過去に論部で報告したKRAS変異を標的としたCCC-001やMYCN増幅変異を標的としたCCC-002に対するアミノ酸を付加した誘導体の合成とその毒性評価を行った。 ①化合物の合成としてCCC-030シリーズの他にKRASのコドン12を標的とするCCC-001のアミノ基付加体であるNH2-CCC-001,aNH2-CCC-001,2NH2-CCC-001及びMYCNの増幅変異を標的とするNH2-CCC-002,aNH2-CCC-001,2NH2-CCC-002の計6種類の新規化合物の合成を行った。 ②これらの化合物の毒性をWSTアッセイにより評価した。KRASの変異を有する大腸癌細胞株SW480に対しCCC-001ではIC50が383.2nM、NH2-CCC-001が56.6nM、aNH2-CCC-001が74.4nM、2NH2-CCC-001が36.1nMといずれもアミノ基を導入した誘導体の方が抗腫瘍効果が強いことが確認された。CCC-002シリーズによる神経芽腫に対する抗腫瘍効果も同様に誘導体の方が抗腫瘍効果が強い結果が得られた。 ③CCC-030の疎水性の測定をHPLCによる分配法により測定し、アミノ基を有する誘導体はCCC-030よりも大幅に水溶性が向上していることを確認した。 ④SPRアッセイにより、CCC-030よりも誘導体の方が標的DNA配列に対する結合親和力が10倍以上向上したことを明らかにした。
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