研究実績の概要 |
令和3本年度ではhTERT遺伝子配列を標的とした化合物CCC-030, NH2-CCC-030, aNH2-CCC-030及び2NH2-CCC-030のアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いた配列認識能の評価及び正常なヒト繊維芽細胞HDF及び乳腺上皮細胞MCF-10aに対する毒性を確認し癌細胞との毒性の比較を行った。 ①合成した化合物が設計した通りのDNA配列を認識し、アルキル化反応を引き起こすかどうか検討した。標的配列を含む蛍光標識二本鎖DNAとCCC-030, NH2-CCC-030, aNH2-CCC-030, 2NH2-CCC-030の4種の化合物を反応させ、アルカリ加水分解処理を行ったのちにPAGEを行い、切断部位を検出した。その結果、アミノ基の導入により危惧された非特異的切断は検出されず、標的DNA配列のみで切断が確認された。更にアミノ基を導入した誘導体3種はCCC-030に比較してより強いアルキル化能を示すことを見出した。②4種の化合物を正常なヒト線維芽細胞HDF及び乳腺上皮細胞MCF-10に投与し、IC50を確認した。その結果、投与後72時間ではHDFに対しCCC-030, NH2-CCC-030, aNH2-CCC-030の3種では1μM以上、2NH2-CCC-030では951 nMのIC50が得られ、MCF-10aではCCC-030, aNH2-CCC-030で1μM以上、NH2-CCC-030で921 nM、2NH2-CCC-030で410nMのIC50が得られた。一方乳がん細胞株MCF-7に対するIC50はCCC-030= 208nM、NH2-CCC- 030= 46.5nM, aNH2-CCC-030= 50.1nM, 2NH2-CCC-03=19.2nMであり、これらの化合物は正常細胞では10倍上の低い毒性を有することが示された。
|