研究課題/領域番号 |
20K07711
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
織田 信弥 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 腫瘍遺伝学研究室長 (40333372)
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研究分担者 |
江崎 泰斗 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 臨床研究センター長 / 消化管・腫瘍内科部長 (30463491)
瀧口 総一 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 研究員(移行) (00280793)
下川 元継 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10625966)
宮下 要 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 血液内科医員 (60544088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マイクロサテライト不安定性 / DNAミスマッチ修復 / DNAポリメラーゼ / 複製エラー / ゲノム不安定性 / 免疫チェックポイント阻害治療 |
研究実績の概要 |
マイクロサテライト不安定性(MSI)は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療をはじめとするがん薬物法において極めて重要なバイオマーカーとみられているが、ヒト腫瘍におけるMSI形質は過単純視されており、現行のMSI解析法とMSI形質分類は不十分である。より正確に奏効する集団を同定するために、ヒト腫瘍におけるMSI形質の実態を明らかにし、DNAミスマッチ修復(MMR)異常との関係を明らかにする必要がある。本研究は、(a)正確な高精度マイクロサテライト解析を「核」として、これに(b)次世代型シーケンサーによるゲノム変異頻度解析を併せて行うことで、ヒト腫瘍におけるMSI形質多様性の実態を解明し、それぞれの形質とMMR異常との真の関係を明らかにすることを目的とした。本研究により、ICI治療をはじめとするがん薬物療法の真のバイオマーカーを明らかにし、治療戦略を適正化、最適化することが最終目的である。本研究では、i) 腫瘍患者より切除された組織標品を対象とした解析として、A. 高精度マイクロサテライト解析系によるマイクロサテライト変化の詳細な評価、B. MMR異常に関連する他の形質の評価を、またこれを受け、ii) ヒト腫瘍におけるマイクサテライト不安定化形質多様性を解明し、iii) MMR異常と各形質との関係を明らかにすることを計画した。初年度は、実際に腫瘍患者より得られた標品の解析に先立ち、高精度マイクロサテライト解析系の精度を検証し、効率を改善した。現在、さまざまな症例より得られた標品と症例情報を整理し、解析を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、実際に腫瘍患者より得られた標品の解析に先立ち、高精度マイクロサテライト解析系の精度を検証し、効率を改善した。これらデータの一部は既に公刊されている(Shioi S et al. Electrophoresis 2021, doi.org/10.1002/elps.202100021)。この改善により、より効率よく、より正確にマイクロサテライト長が評価できるようになった。現在、さまざまな症例より得られた標品と症例情報を整理し、解析を準備している。
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今後の研究の推進方策 |
早急に対象症例を固め、標品より漸次試料調製をおこない、解析に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
高精度マイクロサテライト解析系の精度検証と効率改善には、主に既存の試薬等を用いたため、試薬その他の消耗品の新規購入が少なく、残額が生じた。今後、症例解析にすすむ上で、標品からの試料調製等が発生し、マイクロサテライト解析も多数実施することで、使用額が増加することが予想される。尚、院内で臨床検査として実施されている検査企業によるマイクロサテライト不安定性解析について、データを検証する目的から提供を受けており、このコストを計上した。
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