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2020 年度 実施状況報告書

多チャンネル脳波を用いた身体所有感の脳基盤の同定と介入法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07714
研究機関杏林大学

研究代表者

大木 紫  杏林大学, 医学部, 教授 (40223755)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード脳波 / 身体所有感 / 経頭蓋磁気刺激 / ニューロフィードバック / デコーディング
研究実績の概要

ラバーハンド錯覚を反映する脳活動マーカーを多チャンネル脳波計測を用いて同定する実験を行うため、修正したラバーハンド課題を開発した。健常被験者(n=18)の眼前のfake handと見えない状態の実際の手に2秒間隔で2回同期した触刺激を加えた。被験者はfake handに身体所有感が生じたか、どの程度強い錯覚だったかを答え、その後この試行を繰り返した。ラバーハンド錯覚はfake handと実際の手の距離が離れると起きにくくなることを利用し、被験者の答えにより時々fake handの位置を動かした。これにより全被験者で、同一の刺激条件下で被験者の意識を変えることを可能にした。
64チャンネル脳波計を用いて、さまざまな強さの身体所有感下の脳活動をcluster-based permutation testで比較した。錯覚の強弱による比較では、事象関連電位に有意差は見られなかった。しかし、周波数帯域の比較で、強い身体所有感に伴い以下の脳活動が観察された。①2回目の刺激の最中、左側から中央部の前頭葉でβとγ帯域に有意差が見られた。この領域は、腹側及び背側運動前野に相当すると思われる。特に腹側運動前野に相当する部位のγ帯域で、強い身体所有感に伴い持続的なパワーの上昇が確認された。②2回目の刺激の最中と直後に、左の頭頂-後頭-側頭接合部にγパワーの上昇が確認された。この上昇も持続的に観察された。③右の頭頂-後頭領域に、2回目の刺激の直後に一過性のγパワー上昇が確認された。①と②の持続的なパワー上昇は、先行研究(Guterstam et al., 2015)の患者の硬膜下皮質表面電位とも一致するが、我々の結果では左側に限局して観察された。現在、同定された脳活動と身体所有感の関係を更に解析するとともに、これらの結果について論文にまとめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在のところ、実験は予定通りに進んでいる。今後は、令和3-4年度の計画を実施していく。

今後の研究の推進方策

Fake handに対する身体所有感に特有の脳活動は同定できたが、両者の因果関係は不明である。同定された部位に経頭蓋磁気刺激を加え、ラバーハンド錯覚のどの側面が影響を受けるか解析していく。更に、得られた脳活動がラバーハンド錯覚に限定したものでないことを確認するため、他の方法で身体所有感を操作し同様の活動が観察されるかを確認する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で学会出張ができなかった。次年度は論文投稿のため、英文校閲、雑誌投稿費に使用する予定である。それ以外の使用は、当初の計画通り行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 身体化した偽の手の運動観察に伴う脳活動の変化2020

    • 著者名/発表者名
      渋谷 賢, 畝中 智志, 座間 拓郎, 嶋田 総太郎, 大木 紫
    • 学会等名
      日本神経科学学会

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公開日: 2021-12-27  

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