脳内における時間計測過程、特に秒単位の時間情報処理過程は未だ明らかにされていない。本研究では、外部からの感覚刺激の時間計測と自ら定めた待機時間の計測とが、同じしくみで同じ神経細胞群によって実行されるのか、それともしくみや神経回路は異なるのか、について検討した。その結果、大脳皮質の異なる領域の神経細胞が、異なる様式で、2つの時間計測過程に関わることが明らかとなった。この結果は、時間知覚と時間再生とが、異なる神経細胞群により、異なるしくみによって実現されていることを示す。脳内の時間情報処理機構の解明に大いに貢献する結果である。
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