研究課題/領域番号 |
20K07730
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
阿部 央 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10711161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 霊長類 / マーモセット / LIP |
研究実績の概要 |
前頭眼野は脳前方の湾曲している領域に存在するため実験の難易度が高いと想定されたことから、本年度はまず、頭頂付近に存在する別の眼球運動関連領野であるLIPを対象として、実験系のセットアップ、ならびに行動課題の訓練の可能性の検討を主な目的として行った。カルシウムセンサー(GCaMP6s)をウイルスベクターにより頭頂葉後部領域に発現させ、その後、広域観察窓を設置した。この動物について、意思決定課題の訓練を行い、課題遂行中の神経活動を検討した。ランドマークとなる脳溝が殆どないマーモセットの脳はイメージングには適するが、その反面、研究対象とする脳領野の同定に困難が生じる。このため、ウイルスベクター注入ならびに観察窓の設置箇所については、in vivo MRIとCTを用いて、実験個体の脳に脳アトラスをレジストレーションを行い、その推定された部位を対象にウイルスベクターの注入と広域観察窓の設置を行った。 1光子マクロ蛍光観察を行った所、前述のMRI/CTのレジストレーションにより、広域観察窓に含まれると推定された領域の視覚野(V6(DM)、V3(VLP)、V3A)の視覚応答が観察された。固視課題を遂行中に、周辺に視覚刺激を呈示して、受容野の位置を検討したところ、Horizontal MeridianとVertical Meridianの位置を参考に、観察窓後方に、V6(DM)と19DI、側方に、V3(VLP)、これらの前にV3Aが存在することが推定された。さらに、V3Aの前にも、視覚刺激に応答を示す猟奇が存在したことから、LIP野であると推定された。 現在、この領野のトポグラフィーの時空間特性を明らかにするため、1光子マクロ蛍光観察ならびに2光子イメージングを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前頭眼野は脳前方の湾曲している領域にあるため、観察窓の設置に困難があった。このため、まずは、実験系のセットアップを確実にするため、実験を行いやすい別の脳領野から研究を始めた。順調にデータ取得ができていることから、実験系のセットアップに問題がないことを確認し、また、動物の行動課題の訓練も順調に進んだ。これらが順調に進んだことから、現在のデータ取得に区切りがついた段階で、前頭眼野からの神経活動記録に進む。
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今後の研究の推進方策 |
LIP野の受容野・反応野の時空間特性を1光子マクロ蛍光観察ならびに2光子イメージングにより検討した後、前頭眼野の実験に移行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品を入札により購入したため金額を正確に予測することはできず、若干の次年度使用額が生じた(当初予定学の1.5%)。
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