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2020 年度 実施状況報告書

マーモセット前頭前野の認知機能に関わる脳領域間結合の神経回路基板の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07731
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

高司 雅史  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (10598080)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード前頭葉 / 霊長類 / カルシウムイメージング / 神経回路 / 意思決定
研究実績の概要

大脳皮質の前頭前野は高度な認知機能を司ると考えられており、その機能に関してはこれまで多くの研究がなされ、思考、情動、記憶、注意、意思決定などの機能が局在していることが明らかになってきている。しかし、前頭前野が他の大脳皮質領野や皮質下領域とどのように協調して情報を処理しているかに関する知見はまだそれほど得られていない。
本研究では霊長類のマーモセットを対象に、前頭前野の認知機能が他の大脳皮質領野や皮質下領域とどのように協調して情報処理されることで果たされるかを明らかにすることを目的とする。具体的には、まず認知課題遂行中のマーモセットの大脳皮質全体から神経活動を記録し、認知課題と大脳皮質の各領野の関わりを明らかにする。次に当認知課題の遂行時に活動する前頭前野の領野から層横断的に神経活動を記録することで、各神経細胞の位置と活動のタイミングを解析する。これにより得られた各神経細胞の位置と、これまでに得られている前頭前野の神経細胞の投射様式から、どの領域に投射している神経細胞が認知課題のどのタイミングで活動しているかを明らかにする。さらに、各神経回路特異的に神経活動を記録、あるいは神経活動を制御することで、各神経回路が認知機能に与える影響を明らかにする。
本年度は神経活動を記録する前頭前野の領野を決定するために、認知課題遂行中のマーモセットの大脳皮質全体での神経活動を記録し、解析をおこなった。この解析から、当課題遂行中に大脳皮質のどの領野がどのタイミングで活動しているかが明らかになりつつある。この結果からターゲットとなる前頭前野の領野が絞れたため、当該領域にウイルスベクターを用いてカルシウムイメージング用のGCaMPを発現させ、プリズムレンズを慢性的に留置して神経活動の記録を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が発出され、研究活動が著しく制限されたため、当初の予定通りには進まなかった。

今後の研究の推進方策

今後は課題遂行中のマーモセットの前頭前野の神経活動を層横断的に記録し、複数の課題で抽出される特徴的な情報処理をおこなう神経細胞を明らかにする。さらに、特徴的な活動をおこなう神経細胞の位置と、これまでに申請者が所属している研究室で明らかになっている前頭前野の投射様式を比較することで、それぞれの神経細胞がどの領域に投射して情報処理をおこなっているかを明らかにする。
その後、神経回路特異的にGCaMPを発現させることで、課題遂行中の神経経路特異的な神経活動を記録する。また、同様の方法で神経回路特異的に光遺伝学を適用することで神経回路特異的な神経活動を制御し、認知課題における神経回路特異的な機能を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では当該年度に共同研究者との打ち合わせおよび国内の学会での成果発表をおこなう予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い打ち合わせがウェブ会議へ変更されたことや、緊急事態宣言によって研究活動が著しく制限され成果発表が出来なかったため次年度使用額が生じた。これは翌年度における打ち合わせや成果発表に使用する予定であるが、新型コロナウイルスによって打ち合わせや成果発表が難しい場合には研究設備や試薬等を充実させ、より研究を推進するために使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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