研究課題/領域番号 |
20K07736
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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研究分担者 |
豊田 博紀 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00432451)
橘 雅弥 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任准教授(常勤) (10722952)
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30240849)
片桐 綾乃 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40731899)
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
早田 敦子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 小児 / 神経障害 / 神経炎症 / 多動 / 自閉症 |
研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea: OSA) は成人では日中の居眠りによる交通事故などで社会的に注目されてきたが、近年は高血圧や耐糖能異常などのメタボリックシ ンドロームのリスク因子であることなどが注目されている。OSA は小児では2~4%に見られる 頻度の高い疾患であり多動・衝動性、注意の持続困難などの注意欠如多動症(ADHD)様症状(Sowell et al., 2003)、学業低下(Gozal et al., 2002)が引き起こされ、OSA児では対照児に 比し大脳皮質灰白質体積が減少(Joo et al., 2013)しているなど、中枢神経発達 を阻害することが示唆されているが治療の必要性に対する社会的認知はまだ低い。OSAの動物モデルとして慢性間欠性低酸素暴露(chronic intermittent hypoxia: CIH) モデルが開発されている。成体ギニアピッグCIHモデルでは前頭 葉および海馬神経のアポトーシスが報告されている(Zang et al., 2009) 。小児OSAが神経障害を引き起こすことを証明するために、我々は21日齢の幼若マウスを暗期6時間、14日間CIH暴露させ脳をゴルジ染色を行い神経突起張やスパイン数を計測した。結果、CIHマウスではコントロールに比べ、mPFCにおける樹上突起張が有意に長く、神経分岐の複雑性が有意に低下していた。また、神経のスパインはmPFCでは変化がなかったが、海馬では有意に増加するとの結果を見出した。自閉症ではスパイン数の増加が認められるなど、多すぎるスパイン数は正常な神経発達を障害することが考えられ、これらの所見はCIHが正常な神経発達を障害することを示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
緊急事態宣言の影響で、実験サイクルにやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、CIHモデルとコントロールモデルで、大脳の各部位ごとの体積測定をおこない、部位による特異的脆弱性があるかを確認する。さらに、培養神経を用いて、神経突起伸展やスパイン形成に影響するファクターを検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言により、実験サイクルがずれ、必要な試薬等を買わなかったこと、および学会のための旅費を使用しなかったため。
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